NHKクローズアップ現代「愛着障害と子供たち」まとめ&関連情報

晩のNHKクローズアップ現代「少年犯罪の背景に何が “愛着障害”と子供たち」は、このブログでも何度も取り上げてきた、愛着障害に関する特集でした。さまざまな関連記事を紹介しながら、内容をまとめたいと思います。

一昨年、広島県呉市で、10代-20代の少年少女7人が、仲間の16歳の少女を暴行し、死亡させる残虐な事件がありました。その要因として指摘されているのが愛着障害という精神疾患だといいます。

愛着とは、医学的には、親と子の間の深い信頼関係のことを言います。子どもにとって初めての人との関わりであり、自分を無条件に守ってくれる、自分が大切な存在であることを認識できる大切な関係です。しかし虐待や育児放棄で愛着を形成できないと、自分のことを大事に思えなかったり、ほかの人を思いやる想像力が育めなかったりするようになり、愛着障害という病的状態になります。

愛着障害が、脳の発達や心のブレーキにどのような影響を及ぼすのか、そうした子供たちをどうやって救えるのか、脳科学の観点から研究が進んでいる、という点が扱われています。

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30万人の患者より1人の悲劇のヒロインが心を動かす理由

性疲労症候群の患者数はおよそ30万人、線維筋痛症の患者数はおよそ200万人と言われています。その患者数も関係して、新たな難病対策から漏れたとの報道があったのは、記憶に新しいところです。

ところで、「慢性疲労症候群の患者数はおよそ30万人で…」と医師や患者が述べるとき、病気の規模を伝えて、深刻さを認識してもらおう、という意図があるものと思います。統計を持ち出すことで、相手の心を動かそうと試みるのです。

しかし、お金と感情と意思決定の白熱教室: 楽しい行動経済学という本によると、それはまったくの逆効果かもしれません。この本が例に挙げているのは、ルワンダの大虐殺のニュースです。これは多くの人が殺されたショッキングで痛ましいニュースでしたが、当時のテレビ局は、それよりも一人の少女が井戸に落ちて救出されたニュースのほうを優先的に報道したのです。

多くの人の生死が関わる問題より、たった一人の悲劇のヒロインが注目を集めるのはなぜなのでしょうか。このときに働く心理学的な要因を、難病の患者が利用するにはどうしたらいいのでしょうか。

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貼り絵師 山下清に学ぶ「自閉症とサヴァンな人たち」

景をそのまま記憶し、あとで精密な絵が描ける。
何十年も前の日付と曜日をぴたりと言い当てる。
何千冊もの読んだ本の内容をことごとく記憶している。

こうした特異な能力を持つ人たちが世界に少数ながらいます。それらの人たちは「賢人」を意味する“サヴァン”と呼ばれています。特に目を見張るような能力を持つ“驚異的サヴァン”は世界に100人以下しかいないのではないかと言われています。その一人は映画「レインマン」の題材にもなったキム・ピークでした。(p63)

サヴァンの出現率は、一般人や精神遅滞と比べて、自閉症で特に多いという統計が出ているので、サヴァンの能力は自閉症のメカニズムと関連しているのかもしれません。

自閉症とサヴァンな人たち -自閉症にみられるさまざまな現象に関する考察‐という本はサヴァンの視点から自閉症を理解しようと試みたもので、貼り絵師の山下清がサヴァンの一例として考察されています。特に興味深かったのは、サヴァンや自閉症に見られる視覚的思考について解説している部分です。その点を紹介したいと思います。

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【2/9 クロ現】子どもの愛着障害についての友田先生の研究が扱われます

2/9のNHKクローズアップ現代で、子どもの愛着障害が引き起こす社会問題について扱われます。『少年犯罪・加害者の心に何が ~「愛着不形成」と子どもたち~』というタイトルです。

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いま、幼少期に周囲との信頼関係が育まれない「愛着不形成」に関する研究が進んでいる。脳の特定部位が萎縮を起こす、自己の行動抑制ができなくなるなど、「精神症状」や犯罪行動につながるメカニズムを解き明かそうというのだ。

福井大学病院では、愛着形成と関わりの深いホルモンを投与することで、脳へ働きかけ、治療につなげようという取り組みが行われている。一度生じた「愛着不形成」の克服には時間がかかる。

福井大学病院の取り組みという記述や、スクリーンショットからすると、福井大学の友田明美先生の研究が扱われるものと思います

▼2015/02/10追記
試聴内容をこちらの記事にまとめました。

NHKクローズアップ現代「愛着障害と子供たち」まとめ&関連情報
NHKクローズアップ現代「少年犯罪の背景に何が “愛着障害”と子供たち」の内容と関連情報のまとめです。少年犯罪の背後にあると考えられている愛着障害とはなにか、脳にどのような影響を及

友田先生の研究については詳しくは以下の記事をご覧ください。

だれも知らなかった「いやされない傷 児童虐待と傷ついていく脳」(2011年新版)
子どもの虐待は、近年注目を浴びるようになって来ました。しかし、虐待が脳という“器質”にいやされない傷を残すことを知っている人はどれだけいるでしょうか。友田明美先生の著書「いやされな

また、愛着障害に関する杉山登志郎先生の研究は以下で取り上げています。

本当に脳を変えてしまう「子ども虐待という第四の発達障害」
杉山登志郎先生の本「子ども虐待という第四の発達障害」のまとめです。虐待の影響は発達障害とどう似ているのか、また独特な問題である解離とは何なのかをまとめています。

もっと広く見られる不安定な愛着が及ぼす問題についてはこちらをご覧ください。

長引く病気の陰にある「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」
愛着理論によると、子どものころの養育環境は、遺伝子と同じほど強い影響を持ち、障害にわたって人生に関与するとされています。愛着の傷は生きにくさやさまざまなストレスをもたらす反面、創造

うつ病を血中DNAで判断できる?

島大の大森哲郎教授らの研究グループが、血液中の遺伝子のメチル化反応を分析して、うつ病を判断できる技術を開発したそうです。

時事ドットコム:うつ病診断に新手法=血液のDNA反応分析-徳島大

徳島大学病院ではうつ病患者の血液の生物学的指標を発見しました

血液の遺伝子のDNAメチル化修飾という化学反応を複数組み合わせることにより、うつ病患者とうつ病でない人とを判別できる可能性のあることを、…明らかにしました。

これらの研究成果は、うつ病の客観的な診断マーカーの開発に役立つことが期待されます。

まず薬を内服していないうつ病患者20名と、うつ病でない19名の血液を採取したところ、18種類の遺伝子のメチル化反応の値を組み合わせれば、うつ病を判別できることがわかったそうです。その後、独立したうつ病患者12名と、うつ病でない12名の血液採取し、選定したマーカーに再現性があることを確認しました。

研究主導者は「精度の高いうつ病の指標に成り得る。実験の規模を拡大し、実用化につなげたい」と述べているそうです。

興味深い研究だとは思いますが、うつ病の血液診断は、以前から言われているものの、なかなか実現しないですね。線維筋痛症などほかの疾患と区別できるのかも未知数です。線維筋痛症慢性疲労症候群のほうも血液で診断できると言われながら、まだ実用化されていないのが気になるところです。

以下が、そのような過去の関連ニュースです。

うつ病を血液のエタノールアミンリン酸(EAP)で診断 光トポグラフィーは保険収載
うつ病を血液検査や光トポグラフィーで見分けられるようになるそうです。
線維筋痛症を血液で診断できる?「抗VGKC複合体抗体」を測定
線維筋痛症を血液で診断する方法が開発中という記事の紹介です。決定的な検査法のない線維筋痛症の現状に変化をもたらすかもしれません
慢性疲労症候群は血液で診断できる?メタボローム解析でバイオマーカーを発見!
理化学研究所のサイトに、慢性疲労症候群の患者の血漿代謝物質を調べることで、客観的な疲労バイオマーカーが見つかったことが掲載されました。