子どもの睡眠を守り睡眠教育を推進するボディクロック(体内時計)研究会が発足

ディクロック研究会という団体が発足したそうです。ボディクロックは「体内時計」のことで、特に子どもの睡眠を守り、睡眠教育を推進することを目的とした専門家によるグループだそうです。

ボディクロック研究会が発足~体内時計の改善による睡眠衛生を促進~ | マイナビニュース はてなブックマーク - ボディクロック研究会が発足~体内時計の改善による睡眠衛生を促進~ | マイナビニュース

【健百】受験成功のコツは"体内時計"の改善?―研究会発足 | あなたの健康百科 

ボディクロック研究会 はてなブックマーク - ボディクロック研究会によると、

山口大学 時間学研究所 明石真教授

愛媛大学医学部附属病院 睡眠医療センター 岡 靖哲センター長

久留米大学医学部 環境医学講座 松本悠貴助教授

久留米大学医学部 内村直尚医学部長

有限会社Sleepeace(スリーピース) 三橋 美穂代表

といった方々が中心となっているようです。特に明石真教授は、髪の毛の根元に付いている毛根細胞の時計遺伝子を調べることで、体内時計の乱れが分かる検査法を開発されたことで、このブログでも取り上げました。

“勉強や仕事開始の3時間前に起床する”ことでボディクロックを朝型に

“起床時に朝日を浴びる”ことでボディクロックをリセット

“朝食を毎日食べる”ことでボディクロックをスタート

“10分程度の昼寝を午後3時までに取る”ことでボディクロックの微調整

“平日・休日の起床時間を一定にする”ことでボディクロックのズレ防止

ということをパフォーマンス向上のボディクロックルールとして提唱しています。

また、(1)不眠による経済損失3.5兆円の削減に貢献 (2)子どもの体力向上を支援し、東京オリンピックでのメダル獲得に貢献 (3)子どもの学力世界1位の達成を支援 の3つのビジョンを定めています。

ほかにも、睡眠の質、量に加え、位相(リズムの乱れ)という三要素で睡眠を評価する「3DSSによる睡眠の評価」が、公式サイトで受けられます。

「良好型」「不規則型」「短眠型」「質低下型」「不規則・短眠型」「不規則・質低下型」「短眠・質低下型」「不良型」という8タイプで診断され、説明文が読めるようになっています。ちなみにわたしは「不規則型」でした。都市部に住む人や20代以下の若い人に多いそうです。

子どもの睡眠の啓発団体というと、神山潤先生の早起き 早寝 生活リズム | 子どもの早起きをすすめる会 はてなブックマーク - 早起き 早寝 生活リズム | 子どもの早起きをすすめる会を思い起こさせますが、独自性については今後の活動を見ないと分からないと思います。

朝型や早起きが理想とされていますが、米国小児科学会によると、ティーンエージャーが夜型化するのは、生理的現象なので、むしろ学校の始業時間を遅くしたほうがいいと言われているそうなので、それが最適なのかどうか、少々疑問に思います。

オリンピックのメダルや学力世界一という文言は、成果至上主義を思わせて、わたしはあまりいい印象は持ちませんでした。もちろん、睡眠を整えると、四当五落のような方法より学力が上がる、ということを言いたいのかもしれません。

社会の夜型が進んで、子どもの睡眠時間が削られていることは確かなので、専門家の観点からの啓発活動に期待したいところです。

 

【12/15】雑誌「小四教育技術」で発達障害と愛着障害

誌「小四教育技術」の2015年1月号で発達障害と愛着障害について扱われています。

小四教育技術 1月号 | 教育・保育誌・その他 | 雑誌 | 小学館

巻頭インタビューが福井大学教授の友田明美先生による「脳科学が解き明かす発達障害・愛着障害の謎」というもので、そのほかにも、

現場ルポ「愛着に課題を抱えた子どもたち」への連携対応術(チームアプローチ)』や『通常学級担任のリアルな困り感に応えるQ&A 発達障害・愛着障害etc.』といった特集があるようです。

発達障害を扱う雑誌は多いのですが、愛着障害について同列に取り上げているのは珍しいと思います。全体の割合からしてそれほど詳しい内容ではないと思いますが、発達障害と愛着障害について知りたい人にとっては少しは参考になるかもしれません。

大日本住友製薬、ADHDの新薬DNRIのダソトラリン(dasotraline)を開発中。2018年にアメリカで発売

のところ米国の臨床試験の話になりますが、大日本住友製薬の米子会社であるサノビオンが、dasotralineという新規ADHD治療薬の開発を進めているというニュースがありました。

開発中のADHD治療剤dasotralineに関する第2相臨床試験データを公表-大日本住友製薬 - QLifePro 医療ニュース はてなブックマーク - 開発中のADHD治療剤dasotralineに関する第2相臨床試験データを公表-大日本住友製薬 - QLifePro 医療ニュース

大日本住友製薬株式会社 ニュースリリース

大日本住友、発達障害の治療薬開発へ 17年度にも米で販売申請  :日本経済新聞 はてなブックマーク - 大日本住友、発達障害の治療薬開発へ 17年度にも米で販売申請  :日本経済新聞

DNRIの新薬ダソトラリン

dasotralineは、ドーパミンとノルエピネフリン(ノルアドレナリン)の再取り込みを阻害するDNRIと呼ばれるタイプの薬です。

半減期は47~77時間と長く、24時間の投与間隔で持続的な治療効果が得られるとのことで、1 日1回使用する、効果が安定して長持ちするタイプだそうです。気持ちを落ち着かせる効果があり、依存性が低いとされています。

DNRIはすでに、ザイバン(ブプロビオン)という薬が禁煙補助薬の形で用いられていて、ADHDにも効果があると言われています。抗うつ薬としてもウエルブトリンという名で発売されています。日本では認可されていませんが、個人輸入で取り寄せる人もいるそうです。

ADHDの治療に効果のある薬のまとめ(適応外処方も含む)
ADHDの治療に用いられている薬をまとめました。中枢神経刺激薬、NRI、SNRI、DNRI、α2アドレナリン受容体作動薬など、それぞれ参照リンク付きで解説しています。

現在の試験では、大人のADHDの患者への効果が認められていて、4mgから8mgを4週間投与したところADHDが改善したとのこと。

大人のADHDの治療に、新薬ダソトラリンは有望か? - MEDLEYニュース

約330人の小児患者を対象した子どもへの臨床試験も進行中とのことです。

予定としては、2016年にも最終的な治験を行い、2017年に米食品医薬品局(FDA)に販売申請して製品化するとされています。発売は2018年になる見込み。

その後の続報によると、ADHDと過食性障害(BED)を対象にした臨床試験では、メチルフェニデートより乱用の危険性が低いことがわかったそうです。

臨床試験では8mg、16mg、36mgが用いられましたが、8mg,16mgではときどき不眠や頭痛が報告され、本来用いる容量を超える36mgになると、メチルフェニデートと同様、副作用が出やすくなったそうです。

ADHD治療剤「dasotraline」の薬物乱用傾向評価試験結果を発表-大日本住友製薬 - QLifePro 医療ニュース はてなブックマーク - ADHD治療剤「dasotraline」の薬物乱用傾向評価試験結果を発表-大日本住友製薬 - QLifePro 医療ニュース

 またADHDの子ども342人を対象にしたフェーズ2/3試験では、2mg/日では統計的に有意な効果は見られなかったものの、倍量の4mg/日では効果が見られたとのこと。

副作用は少なめでしたが不眠、食欲減退、体重減少が見られる場合があり、およそ1割の子どもは服薬中止したそうです。

注意欠如・多動症治療剤として開発中のdasotralineの小児を対象としたフェーズ2/3試験結果の速報について 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News はてなブックマーク - 注意欠如・多動症治療剤として開発中のdasotralineの小児を対象としたフェーズ2/3試験結果の速報について 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

その後のニュースによると、米国食品医薬品局(FDA)と協議のうえで、 2017年に成人および小児のADHDを対象とした新薬承認申請(NDA)を行う予定だとのこと。

新規DNRI「dasotraline」、小児ADHD対象の試験データを発表-米サノビオン - QLifePro 医療ニュース

dasotraline、小児ADHDを対象としたP3試験で主要評価項目を達成-大日本住友製薬 - QLifePro 医療ニュース

こちらの記事によると日本での発売も検討しているとのこと。

大日本住友、米で過食症治療薬 ADHD薬の適応拡大  :日本経済新聞

 臨床開発部門の責任者、アントニー・ローベル氏は「日本でも知見のある医師らに聞き取りしており、開発を検討している」と話している。

 日本では今のところ、ADHDの薬として、中枢神経刺激剤のメチルフェニデート製剤のコンサータと、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬のストラテラ(アトモキセチン)が使われていますが、これからADHDの治療薬の選択肢も増えていくのかもしれません。
ADHDの人は若くして慢性疲労症候群(CFS)になりやすい?
ADHDの子どもの脳機能の低下が友田先生により報告されています。
 

【12/16】瀬川昌也先生が逝去

どもの睡眠の研究をされていた瀬川小児神経学クリニックの瀬川昌也先生が亡くなりました。

瀬川昌也氏が死去 瀬川小児神経学クリニック院長  :日本経済新聞 はてなブックマーク - 瀬川昌也氏が死去 瀬川小児神経学クリニック院長  :日本経済新聞

瀬川先生は、子どもの睡眠の研究の草分け的な存在と言われ、2005年のNHKクローズアップ現代「子どもの睡眠が危ない」では、三池輝久先生とともに、子どもの生活の夜型化に警鐘を鳴らしておられました。

また小泉英明先生が統括された研究開発プログラム「脳科学と教育」(研究開発期間 平成13年度~平成21年度)にも参加しておられ、 書籍脳科学と学習・教育で、「育児と教育の臨界齢」に関する研究成果の一部を読むことができます。この本については、このブログでも取り上げています

科学技術振興機構のホームページには説明動画もありました。

脳科学と教育 (3)ヒトらしさの源にせまる 神経回路の発達からみた育児と教育の臨界齢の解明 |サイエンス チャンネル はてなブックマーク - 脳科学と教育 (3)ヒトらしさの源にせまる 神経回路の発達からみた育児と教育の臨界齢の解明 |サイエンス チャンネル

自閉症や発達障害についての発言には異論も多くあったようですが、その分野に関する専門家の意見は未だにまとまっておらず、確かなことはわかっていないので、今後の研究を待つ必要がありそうです。

先駆者としてのご活躍、お疲れ様でした。

【11/30】田中英高先生の新刊『心身症の子どもたち ストレスからくる「からだの病気」』

立性調節障害(OD)の第一人者で、OD低血圧クリニック田中で診察しておられる田中英高先生の新刊が出ていました。

子どものこころの発達を知るシリーズ05 心身症の子どもたちストレスからくる「からだの病気」というものです。シリーズもののうちの一冊を担当しておられるようです。

合同出版/商品詳細 子どものこころの発達を知るシリーズ5 心身症の子どもたち--ストレスからくる「からだの病気」 はてなブックマーク - 合同出版/商品詳細 子どものこころの発達を知るシリーズ5 心身症の子どもたち--ストレスからくる「からだの病気」

不登校や保健室に通う小・中・高校生の7割は体調不良をともなっているというデータがあります。
その多くは、起立性調節障害、偏頭痛などの慢性頭痛、過敏性腸症候群などの機能性腹痛の状態にあると考えられています。
これらは、なにか精神的なストレスがかかった時に悪くなります。
つまり、何らかの心理社会的ストレスは自律神経機能を悪化させることから、子どもたちの体調不良の原因は、自律神経機能という身体面と、心理社会的ストレスという心の面の両方を考えながら対応する必要があるのです。

目次を見ると、摂食障害や過敏性腸症候群など、さまざまな心身症が扱われていて、そのひとつとして、第三章で起立性調節障害が扱われているようです。

以前の子どもの心身症ガイドブックと似たような内容かなと思います。

心身症というのは、あまりいい印象がない言葉で、「気の持ちよう」と思われてしまう側面があることは否めません。しかし本書では、タイトルからも分かるとおり、ストレスが関わる体の病気、という本来の意味で用いられているようです。

ひとつの病気を深く掘り下げる本ではないので、手に取りづらいかもしれませんが、ほかの病気についても知ることで視野が広がる一冊かもしれません。