解離をさまざまなレベルで生じるフラクタル構造として考える

の記事は解離と慢性疲労について考えた以下の記事の3つ目の補足です。

だから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態
解離と慢性疲労は深く関係していて、不動系という生物学的メカニズムによって引き起こされているという点を、不登校や小児慢性疲労症候群の研究と比較しながら分析してみました。

記事でみたように解離という考え方は、さまざまな現象を説明するのに役立ちます。

統合されているものが「切り離される」ことで生じる病理は、医学的な概念を越えて世の中に広く当てはまるフラクタル的な現象です。

つまり、解離は狭い意味では精神医学的な概念ですが、世の中のさまざまなスケールに当てはまる汎用的な概念でもあります。

続きを読む

解離は引き込み・共鳴現象と関わるリズム障害かもしれない

の記事は解離と慢性疲労について考えた以下の記事の2つ目の補足です。

だから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態
解離と慢性疲労は深く関係していて、不動系という生物学的メカニズムによって引き起こされているという点を、不登校や小児慢性疲労症候群の研究と比較しながら分析してみました。

本文中で、サウンドセラピーがトラウマ障害などに効果があるのは、メロディやリズムが、トラウマ記憶と同じく手続き記憶であり、トラウマの手続き記憶によって乱れた脳のリズムを、音楽のリズムの手続き記憶が一時的に相殺するからではないかと書きました。

わたしの場合、一部のハイパーグラフィアと同じように、文章を書いているときは不動状態が解除されます。枯渇したはずのエネルギーが動員されます。

オリヴァー・サックスが言うように、書くことで考えが一つにまとまり、整理されます。サックスが書くことと音楽をこよなく愛していたのは偶然ではないでしょう。書くことも音楽も、ドーパミンによって脳の非同期な活動をひとつのリズムへとまとめる力を持っています。

独特すぎる個性で苦労してきた人の励みになる脳神経科医オリヴァー・サックスの物語
書くことを愛し、独創的で、友を大切にして、患者の心に寄り添う感受性を持った人。2015年に82歳で亡くなった脳神経科医のオリヴァー・サックスの意外な素顔を、「道程 オリヴァー・サッ

からだの不動化、そして歌のリズムやメロディがともに手続き記憶であることからすれば、からだは同時に2種類のリズムを刻むことはできませんから、別のリズムに没頭して同調しているうちは不動化の手続き記憶が解除されるのかもしれません。

続きを読む

慢性疲労症候群の文化が抱える「バラムとロバ」現象

の記事は解離と慢性疲労について考えた以下の記事の1つ目の補足です。

だから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態
解離と慢性疲労は深く関係していて、不動系という生物学的メカニズムによって引き起こされているという点を、不登校や小児慢性疲労症候群の研究と比較しながら分析してみました。

本文では、小児型の慢性疲労症候群に焦点を当てて扱いました。では、成人型の慢性疲労症候群はどうなのでしょうか。

子どもであれ、大人であれ、同じ慢性疲労症候群だ、とみなす人もいますが、わたしはそうは思いません。

根拠のひとつは、今回扱った本が述べているように、たとえばトラウマ障害の場合、子ども時代に発症した場合と、大人になってから発症した場合とでは、表に出てくる症状が異なるからです。

発達性トラウマ障害(DTD)の10の特徴―難治性で多重診断される発達障害,睡眠障害,慢性疲労,双極II型などの正体
子ども時代のトラウマは従来の発達障害よりもさらに深刻な影響を生涯にわたってもたらす…。トラウマ研究の世界的権威ヴァン・デア・コーク博士が提唱した「発達性トラウマ障害」(DTD)とい

特に、本文で扱っている解離や不動状態は、生まれつきの感覚過敏性や、幼少期の愛着の安定性が大きく関わっています。

おそらく、若くして、まだ元気なはずの子ども時代、学生時代に慢性疲労状態になってしまう人は、発達障害であれ、HSPであれ、無秩序型愛着であれ、ある程度そうなってしかるべき要素を持っているのではないかと思います。

そうであれば、少なくとも学生時代には不登校に追い込まれるほどの体調不良を発症するに至らず、学校社会を乗り切って成人することができ、大人になってから別の要因で慢性疲労症候群になった人とは、生来の性質が違うのではないかと思います。

続きを読む

だから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態

不登校状態とは生命の脳の疲労であるため生活エネルギーがなくなってしまっており、自らを守るためには、じっと動かず回復を待つこと、すなわち引きこもりが必要となる。

…不登校は「心理的な問題」と漠然としてつかみようもない解釈がなされつづけてきたが、実際には中枢神経機能障害、ホルモン分泌機能障害、免疫機能障害の三大障害を伴うものであり、人生最大の危機に発展する例があることがわかってきた。(p3-5)

どもの不登校、そして小児慢性疲労症候群(CCFS)の専門家である三池輝久先生は、学校を捨ててみよう!―子どもの脳は疲れはてている (講談社プラスアルファ新書)でこう書いています。

本来、活力に満ちあふれているはずの学生時代に、想像を絶する慢性疲労とエネルギーの枯渇に閉じ込められ、まったく身動きが取れなくなり、わけもわからないままに不登校、引きこもり、そして「人生最大の危機」へと発展していく。

いったいなぜ、活力に満ち満ちたはずの学生にそんなことが起こるのか。このブログでは、ずっとその理由を調べ続けてきました。

重要な手がかりとなったのは、エネルギーの枯渇、慢性疲労、そして生きているのか死んでいるのかもわからない状態をもたらす、生物学的なからだのメカニズム、「不動系」です。

身体に閉じ込められたトラウマ:ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケアにはこう書かれています。

この絶体絶命の不動系は緊急時に短時間のみ機能するようになっている。

慢性的に作動すれば、本当に生きているわけでも実際に死んでいるわけでもない非存在という地獄のような状態に陥ってしまう。(p127)

この記事ではこの「不動系」という神経の働きを中心に、次のような話題を解き明かしていきます。

■なぜ慢性疲労と解離はつながっているのか

■解離に陥った人の自律神経系では何が起こっているか

■不登校や引きこもり、特に小児慢性疲労症候群(CCFS)と呼ばれる病態にみられる極度のエネルギーの枯渇が解離と関わっているといえるのはなぜか

■どうすれば慢性化した不動状態から回復できるか

専門家ではなく当事者目線での分析にすぎず、非常に長文ですが、さまざまな資料から系統立てて考察した、このブログの里程標となる記事なので、以上の話題に興味のある方がいらっしゃいましたら、どうぞお付き合いください。

続きを読む

男性の解離性障害は女性とは症状の表れ方が異なる? 文化ストレスによる性差を考える

の記事は、以下の記事の補足です。

PTSDと解離の11の違い―実は脳科学的には正反対のトラウマ反応だった
脳科学的には正反対の反応とされるPTSDと解離。両者の違いと共通点を「愛着」という観点から考え、ADHDや境界性パーソナリティ障害とも密接に関連する解離やPTSDの正体を明らかにし

本文では、解離は回避型寄りの愛着スタイルに伴う反応であり、PTSDは不安型寄りの愛着スタイルに伴う反応だと考えました。そして、たとえば境界性パーソナリティ障害は後者にあたると書きました。この分類に従えば、他のさまざまな病態も説明することができます。

たとえば、回避型の愛着スタイルに多い強迫性パーソナリティ障害(批判的な完璧主義者)、反社会性パーソナリティ障害(犯罪者)、自己愛性パーソナリティ障害(尊大で横柄な人)、ジゾイドパーソナリティ障害(極めて孤独を好む人)などは、人間味のある感情や記憶を解離しているために、冷徹で批判的、尊大な性格になります。

これらは、解離傾向が強いため、本文中の分類では解離性障害と似たような場所に位置するとみなせます。

しかし、上記の各種パーソナリティ障害と解離性障害では、ずいぶんと症状の現れ方が違っているように見えます。これら各種パーソナリティ障害は解離傾向の強い男性に多く、解離性障害は解離傾向の強い女性に多いという違いがあります。

男性と女性とで解離症状の現れ方が違うのはどうしてでしょうか。

続きを読む