「うつとよりそう仕事術」が教えてくれる不安撃退3ステップ


、「バネ思考」を紹介した際に少し触れた、書籍「うつ」とよりそう仕事術 (Nanaブックス)の書評です。これは、ブログサイトFind the meaning of my life.を運営する@kazumotoさんによるうつ病患者のためのライフハック術をまとめた本です。

わたしのブログは、慢性疲労症候群(CFS)のもとでも、健康な人のようなパフォーマンスを発揮するにはどうすればよいか、そのためのテクニックである「ライフハック」を紹介することを主眼においています。

コンセプトの似た偉大な先輩として、わたしはこの本を読むことをとても楽しみにしていました。そして、確かに学ぶことの多かった本でした。この書評では、「うつとよりそう仕事術」を実践するにあたり、もっとも初歩というべき3つのステップを紹介したいと思います。
 

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これはどんな本?

P9には端的にこう述べられています。

こうしたハンディを抱えた状態でも、平常心を保ちつつ高いパフォーマンスを発揮し、健康な人と対等に遜色なくビジネスで渡り合っていくのはどうしたらいいのか?

この問題に対して、私が試行錯誤して、今も実践している工夫をこの本で紹介します。                      p9

P83には、その工夫のポイントが「今やっている仕事を半分の時間、半分の労力で終わらせる方法はないか」という点にあると書かれています。これはエネルギー生産機構に障害があり、常に労力の節約を考える必要がある、わたしたち慢性疲労症候群(CFS)の患者にとっても大切な点です。

またP203では、この書籍で紹介されているテクニックが「跳び箱のロイター板」に例えられています。ロイター板があればこそ、自分の身長に勝る跳び箱をさえ飛び越えることができます。わたしたち病気の患者が、身の丈以上の障害を乗り越えるにあたって、この本で紹介されているテクニック、また考え方はとても助けになります。

この本は、精神論的な対策、あるいは治療法を紹介する本ではなく、即戦力として役立つ具体的なテクニックがふんだんに盛り込まれているという点で、うつ関係の他の書籍とは一線を画しています。

一般的なうつの書籍を、うつ病という耳慣れない土地の環境を解説したガイドブックに例えるとすれば、この本は、現地で通訳し、次にどう行動すればよいか教えてくれるガイドに例えられるでしょう。

ガイドブックは知識を得るには役立ちますが、実際に見知らぬ地に立ち、右も左も分からない時にはほとんど役に立ちません。それに対し、目に見えるガイドがいれば、あなたは手本を通して学び、その歩みについていくことができます。この本はそれほど実践的です。

今回はその中から、もっとも初歩というべき3つのステップを紹介したいと思います。

1.GTDを活用してまずはすべてを書き出そう p65

著者は、GTDを非常に高く評価しています。GTDとは、Getting Things Doneの略で、デビッド・アレン氏が開発したタスク管理のテクニックのことです。

その特徴は、頭の中にあることをすべて紙に書き出すことや、それらを状況別に分類してタスクリストやカレンダーに追加し、毎週の週次レビューで整理していくことにあります。わたしも、できる範囲でGTDを実践しています。GTDについては、書籍はじめてのGTD ストレスフリーの整理術などの入門書があります。

著者は、まっさらなノートに向かって、気になることすべてをまずは書き出してみたそうです。タスクだけでなく、頭の中身をすべて、丸二日かけて書き続けたと綴られています。

すると、はじめ、ネガティブなことばかり書き出していたのに、ポツポツと「…したい」という表現が出てくることに気づきました。著者はp190でうつ病を金縛りに例えて、あらゆる欲が無くなると表現していますから、その中でやりたいことを少しでも見つけられたのは、驚きだったでしょう。すべてを書き出すことで頭の中が整理整頓され、わずかに残っていた意欲を見つけることができたのです。

わたしたち慢性疲労症候群(CFS)の患者の場合、うつ症状がない患者なら、意欲の減退はないかもしれません。わたし自身、欲望の塊といっていいほどに、やりたいこと、挑戦したいことが山ほどあります。一つやりたいことをやっている最中に、二つ新しいことがやりたくなる、といった具合です。また、やらなければならないと思い込んでいることに圧倒されてしまうこともあります。

残念ながら、それらすべてをするだけの体力はありません。そのため、優先順位を見極めなければなりません。その場合も、頭の中にあるものを書き出すというのはとても役立っています。思考が渦巻く混乱状態が整理され、本当にやるべきことが何かわかるからです。

この本の著者のように、不安を抱えている人はもちろん、「頭がいっぱいいっぱいで余裕がない」、という人にも、ぜひすべてを書き出すというこのテクニックを実践してみてほしいと思います。部屋を片付けるとすっきりするのと同様、頭の中を整理することも安心感につながります。

2.マインドマップで書き出そう p120

不安を書き出すにあたり、すべてを吐露しようとするときは、ノートに向かい合うのが良いかもしれません。しかし、普段はもっと手っ取り早い方法があれば助かります。書き出す労力が必要なく、頭の中にあることが芋づる式に次々と取り出せる方法は何でしょうか。そうです、マインドマップです。

p120では、マインドマップを利用して不安を一掃するテクニックが紹介されています。まず、真っ白な紙を横向きに置き、中心に日付を書き、丸で囲みます。そこから枝を伸ばし、今の時間を書き込みます。その先には心に浮かんだ気がかりなことを、単語の形で次々に書いていきます。

だいたい10分も不安を書き続けたら、同じ単語が出てくるので、ペンを置きます。最後に、書きだした感情とはまったく関係のないハッピーな画像を貼り付けておきます。

そうすることで、「最終的にはハッピーな気持ちになった」という思いで見返せるのだそうです。『不安を書いていくことで、「思いは認めてもらえた」と脳はとりあえず満足する』のではないか、と書かれています。

わたしも、普段頭がいっぱいいっぱいだと感じるとき、すぐ広告の裏などの要らない紙に、マインドマップを書き出します。黒一色の殴り書きで、気になっていることをすべて書きだしていきます。

すべて書きだしたと思ったら、やらなければいけないタスクの部分を、それぞれ赤いボールペンで囲んで目立たせます。そして、それらを見比べ、青いボールペンで優先順位の番号を振っていきます。ほんのわずかな手間で頭がすっきりして、やるべきことがはっきりします。

人によってやり方はさまざまでしょうが、気になることを書き出すとき、マインドマップはとても優れたツールです。

ストレスフリーのノート術「マインドマップ」―5つのメリットとかき方のステップ
トニー・ブザン氏が開発した効果的なノート術、「マインドマップ」について紹介しています。マインドマップのなりたち、5つのメリットやかき方のステップについて書いています。

3.書きだした不安を分析しよう p90

これまでのテクニックは、書き出す行為そのものによって、安心感を得ることを念頭に置いていました。しかし、さらに一歩進むためには、なぜ不安を感じたのか、なぜ気がかりなことで頭がいっぱいになったのか、分析する必要があります。

そのために著者は、不安をある程度書きだしたなら、ざっと見直し、ジャンル分けすることを勧めています。『これでようやく「敵を知」り、対策を講じることができるようになります』。それはお金の不安や、人間関係の不安、体力面での不安かもしれません。いずれにせよ、問題となる点がはっきりしたなら、具体的な対策を練ることができます。

中には、何が気がかりなのかぐらいすでに分かっている、とおっしゃる方もいるかもしれません。それでも、この本ではこう指摘されています。

信じられない頭の中でいくら考えても、不安を制することはできません。書き付けて可視化することが重要です。今まさに「不安」に囚われている方は、紙とペンを肌身離さず持ち歩くところから始めてみてください。

頭の中で考えているだけだと、ジャンル分けや、優先順位の決定など、比較検討を行うことができません。なぜなら脳は一度に一つのことしか考えられないからです。比較できなければ、分析もできません。書きだしてはじめて、分析し、対策を講じることができるのです。

その先に役立つテクニックがある

ここまでで、気がかりなことを書き出し、対策を講じることを紹介してきました。じつは、これは、「うつと寄り添う仕事術」へ至る入門部分です。このステップにより自分の必要を知ることができます。そうすると、「うつ」とよりそう仕事術 (Nanaブックス)に書かれているさまざまなテクニックを当てはめられるようになるでしょう。

「うつ」とよりそう仕事術 (Nanaブックス)には、じつにさまざまな有用テクニックが紹介されています。考え方・心構えといった事前準備的なテクニックにとどまらず、職場での振る舞い方という実践的なテクニックも紹介されています。

あなたがほんとうに必要としているテクニックも、きっとこの本に書かれているに違いありません。ぜひこの書籍を手に取り、病のもとでも最大限のパフォーマンスを発揮してゆかれるようお勧めいたします。

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うつ病 / マインドマップ