視力検査でわからない3つの視機能異常とは?―発達障害やディスレクシアに多い「見る力」の弱さ

見え方に問題があると言うと、近視や乱視、または老眼などによる視力低下が思い浮かぶ。

目は必要に応じて動き、色や形、物の動きや位置をとらえることは、あたり前だと私たちは思い込み、視力以外見え方の問題の存在について考えることはほとんどない。(p9)

「見る力」が弱い、と言うと、多くの人が思い浮かべるのは、視力が弱いという意味かもしれません。

ところが、冒頭に引用した学習につまずく子どもの見る力―視力がよいのに見る力が弱い原因とその支援の言葉のように、「見る力」には視力以外のさまざまな能力が含まれています。

そして、発達障害や学習障害(LD)の子どもは、視力は正常でも、一般の視力検査には表れないさまざまな「見る力」が低下しているせいで、学習につまずいたり、日常生活で苦労を味わったりすることが多いと言われています。

中には、ADHD(注意欠如多動症)の不注意や多動性など、発達障害の症状だとみなされているものが、じつは「見る力」に問題があるせいで生じていることもあるそうです。

この記事では、発達障害の子どもの視知覚認識問題への対処法などの本から、あまり知られていない見え方の異常として、見た目でわからない「隠れ斜視」、近くを見る作業が難しくなる「輻輳不全」(ふくそうふぜん)、文字や行を見失いやすい「衝動性眼球運動の弱さ」について取り上げます。

そうした気づかれにくい「見る力」の異常を検査する方法や、治療に役立つ情報も紹介したいと思います。

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「ベンゾジアゼピン眼症」とは―睡眠薬・抗不安薬で生じる薬剤性の目の疲れ、まぶしさ、まぶたのけいれんなど

■痛みや疲れで目を開けていられない
■家の中でもまぶしい、明るすぎる
■いつも目が乾いてまばたきが多い
■まぶたがピクピクする

うしたさまざまな目の不調を訴えて眼科を受診する人たちの症状が、睡眠薬や抗不安薬の副作用によって引き起こされている場合がある、というニュースがありました。

目に強い痛みと眩しさ…安定剤、睡眠導入薬で副作用 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

睡眠薬で目の不調…減薬・断薬 主治医と相談 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

原因となる主な薬は、ベンゾジアゼピン系と呼ばれるタイプで、このタイプの睡眠薬には、マイスリー、レンドルミン、ロヒプノール、サイレースなど、抗不安薬にはデパス、ソラナックスなど様々な薬が含まれます。

しかし、症状の原因は、神経伝達物質のひとつであるGABAの受容体に作用することにあると言われていて、GABAアゴニストというタイプに含まれるほとんどの睡眠薬で副作用として表れる可能性があるようです。

 自覚症状の程度には軽重がありますが、こうした症状を持っている症例のかなりの人々が共通して使用している薬があったのです。

それは、安定剤や睡眠導入薬として多用されているベンゾジアゼピン系あるいは同等の薬理作用を持つ薬の連用でした。

同等の薬理作用というのは脳内の神経伝達物質受容体のうち、「GABA」の受容体に作用する薬物で、ほとんどの睡眠導入薬が含まれます。

睡眠薬・抗不安薬の副作用による目の症状は、薬を減らしたり、やめたりすることで改善されますが、服薬期間が長いほど治りにくくなるともいわれています。

井上眼科病院の若倉雅登 名誉院長はこの症状を「ベンゾジアゼピン眼症」と名づけ、薬の副作用として情報を広めていきたいと述べています。この記事では、薬剤性の眼瞼けいれんについてのニュースをまとめてみました。

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「あいまい性耐性」―逆境のもとで新しい価値観を見つけ自分の人生を歩み出す力

あんまり現実というものが苦しいので、絶えず瞑想のうちに逃れていたが、これはどうやら無駄なことではなかったらしい。

今、僕は以前思っても見なかった望みや希(ねが)いを持っています。(p255)

れは、生きるための哲学 (河出文庫)という本に引用されている、ロシアの文豪ドストエフスキーの言葉です。

前向きな言葉がつづられていますが、なんとこれは、10年にわたる極寒シベリアでの獄中生活を送っているさなか、流刑地オムスクから兄に送られた手紙の一節だそうです。

人間を人間とも扱わないような残酷で悲惨な日々の中で、ドストエフスキーはより深い人生観を身につけ、自由になってからは稀代の作家として大成していきました。

わたしたちのほとんどは、強制収容所で何年も過ごすような極限体験をしたことはないかもしれません。しかし、一見平和に見える社会でも、あたかも冷たい牢獄にとらわれるような悲惨な人生を、何年も、何十年も送っている人は決して少なくありません。

幼いころからの虐待、崩壊した家庭での心労、慢性的な病気などは、文字通りの強制収容所と同じほど、昼も夜も絶え間なく心身を痛めつけます。

いつ終わるとも知れない苦しみに圧倒され、生きる意味も喜びも感じられないようなとき、どうすれば、それを乗り越えることができるのでしょうか。

生きるための哲学 (河出文庫)ポジティブ心理学が1冊でわかる本などの本から、逆境を乗り越え、自分だけの人生を歩み出すのに、曖昧(あいまい)さに向き合う力がどのように役立つかを見てみましょう。

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自閉スペクトラム症(ASD)の人は相手の「行動」で良し悪しを判断―先入観なくフェアという長所も

都大学の米田英嗣特定准教授らの研究によると、自閉スペクトラム症(ASD)の小中学生は、良い人か悪い人かを判断するとき、「人となり」よりも「行動」に注目する傾向があることがわかったそうです。

悪い子の良い行動から何を読み取るか?自閉スペクトラム症を持つ小学生・中学生の善悪判断│京都大学 研究成果

「人格」より「行動」で善悪判断 自閉スペクトラム症の子 : 京都新聞

自閉スペクトラム症を持つ小中学生の善悪判断は行動に基づくもの-京大 - QLifePro 医療ニュース

自閉スペクトラム症の子供:表面的な行動で「善人」と判断 「悪意の理解が難しい」 福井大などのチームが発表 /福井 - 毎日新聞

報道では、こうしたASDの人の考え方の特性は、見せかけの親切にだまされやすい、詐欺やいじめなどの被害に遭いやすいといった、リスクが強調されています。

しかし、このASDの特性が単に欠点やデメリットである、とするのは短絡的でしょう。これはASDの人と定型発達の人の着眼点の違いからくる問題です。

この記事では、研究内容を参考にしつつ、一歩踏み込んで考え、ASDであれ、定型発達であれ、生まれ持った特性は長所も短所も含まれたパッケージであり、短所のように見えるASDの特性も見方を変えれば長所として伸ばしていける、という点を考えます。

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【1/21】柴山雅俊先生の新刊「解離の舞台 症状構造と治療」が発売予定

のブログの解離関係の記事で大いに参考にさせていただいている、解離性障害の専門家、柴山雅俊先生による解離の解説書の新刊解離の舞台―症状構造と治療が、来2017年1月21日に金剛出版から発売されるようです。

内容紹介は以下の通り。

解離の舞台 症状構造と治療/柴山 雅俊 - 紙の本:honto本の通販ストア はてなブックマーク - 解離の舞台 症状構造と治療/柴山 雅俊 - 紙の本:honto本の通販ストア

本書の前半・症状構造論では、「色」「夢」「眼差し」など解離に特徴的な表象を手がかりに、気配過敏、想像的没入、人格交代、空間的変容/時間的変容、幻覚・幻聴など解離の典型的症状を論じながら、当事者の主観的体験世界を触知する。

本書の後半・鑑別診断論では、境界例、自閉症スペクトラム障害、統合失調症との困難な鑑別方法を症候学的観点から解説していく。

そして終盤の治療論では、「救済者」「犠牲=身代わり」「場所」などのキーワードを足がかりとして、夢と現実の境界線上に「いま・ここ」を構築して交代人格と交流をはかり、安全な場所のなかで回復に至る軌跡を描いていく段階的治療論が語られる。

一見すると、6年前の著書解離の構造―私の変容と“むすび”の治療論に近い内容なのかな、と感じられますが、さらに煮詰まった理解が含められているのではないかと思います。

前半部分の「色」「夢」「眼差し」はわたしも気になっているところなので興味を惹かれます。後半の自閉症スペクトラムとの鑑別や、具体的な治療論は、ぜひ知っておきたい知識ですね。

わたしは常々、解離を知らずして創造性は理解できないと思っています。うちのブログは多岐にわたる話題を取り上げていますが、一番思い入れのあるカテゴリーは何かというと、慢性疲労でも発達障害でもなく、間違いなく解離だろうな、と感じます。

柴山先生の本は、毎回、当事者の主観的体験に寄り添った生き生きとした洞察が魅力的で、読んでいて本当に興味深いです。

専門家向けの本らしく、値段は高めで、内容も難しめだと予想されますが、解離を深く知るにはうってつけの一冊ではないかと思います。わたしもぜひ読んでみようと思っています。

柴山先生の解離の本をまだ読んだことのない方には、もっと簡単で一般向けの解離性障害のことがよくわかる本 影の気配におびえる病 (健康ライブラリーイラスト版)をお勧めしておきます。