なぜ子ども虐待のサバイバーは世界でひとりぼっちに感じるのか―言語も文化も異なる異邦人として考える

ある若い男性が自らの暗い経験を次のように記述している。

「人類から切り離されて、宇宙でひとりぼっちのように感じる……自分が存在しているのかどうかさえわからない……みんなは花の一部なのに、僕は未だに根っこの一部だ」(p133)

日、ある講演の中で、性的虐待のサバイバーである女性のエピソードについて話されるのを聞きました。

講師は、その女性が自殺衝動と闘いながらひたむきに生き抜いていることに触れ、わたしたちはみな、こうした憂鬱な気分や苦悩に見舞われるとしても、それを乗り越えていくことができる、と聴衆を励ましていました。

確かに勇気づけられるエピソードかもしれません。しかし、性的虐待をはじめ、子ども虐待のサバイバーが感じる苦悩は、多くの人がふだんの生活の中で感じる憂うつさや不安とは、あまりに異質で種類の違うものです。

冒頭に引用したのは、神経生理学者ピーター・A・ラヴィーンが身体に閉じ込められたトラウマ:ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケアの中で述べている言葉です。続く記述にはこうあります。

トラウマを受けた人の多くがいくら頑張っても、善意のセラピストからの援助や思いやりを受け取ることがほぼ不可能なのは驚くにはあたらない

―それを欲していないからではなく、不動状態という原始的な根幹に閉じ込められ、表情やからだの動きや情動を読み取る能力が著しく低下しているからである。

彼らは人類から切り離された存在となってしまうのだ。

子供のころに常識では考えられないような経験をしてきた人は、あまりに普通でない世界に順応して育ち、異質な思考パターンを身に着け、それどころか脳さえもが常人とは違うかたちに発達し、極めつけは、自分が何者なのかさえわからなくなります。

その結果、「彼らは人類から切り離された存在となって」しまいます。サバイバーたちの苦痛は、理解「されない」ことではなく、だれも理解「できない」ほど異質なものであることから生じています。

この記事では、子ども虐待のサバイバーたちの苦痛が、家族にも医者にも理解されず、しばしば否定され、攻撃さえされてきた理由として、サバイバーたちが異なる言語を話し、異なる文化を持ち、異なる世界で育ってきた異邦人である、ということを見ていきたいと思います。

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子どもの慢性疲労と睡眠についての解説動画―大阪市大が協力するヨドネルプロジェクト

You Tubeチャンネルyodogawakuyakusyo にて、ヨドネル大規模調査に基づく、子どもの睡眠と疲労の解説動画がアップされています。

ヨドネルプロジェクトとは

平成28年度に、大阪市淀川区と、疲労研究で有名な大阪市立大学の連携により、小学校4年生から中学校2年生までの生徒約6000人を対象にした、睡眠習慣、生活習慣、学習意欲や疲労に関するヨドネル大規模調査が行われました。

大阪市:報道発表資料 脳科学で読み解く子どもの睡眠~ヨドネル6000人調査の結果報告会を開催します~

睡眠時間短いほど疲労 学年上がるにつれ蓄積 - 大阪日日新聞

この調査を分析した理化学研究所の水野敬先生は、小児慢性疲労症候群の研究もされています。小児慢性疲労症候群を特集した教育と医学 2016年 6月号 [雑誌]による、子どもの睡眠の実態調査の解説が収録されていました。

小児慢性疲労症候群(CCFS)の子どもは脳の情報処理で過活動が生じていることが判明
小児慢性疲労症候群(CCFS)の子どもの脳機能に関する理化学研究所の研究

淀川区は、こうした研究を通して、子どもの睡眠習慣改善に向けたヨドネルプロジェクトを推進しています。

以下の動画は、3/29~4/11に大阪市立大学の健康科学イノベーションセンターの協力のもと、淀川区役所で行なわれているギャラリー「すいみん科学館」のパネル展示と連動する内容だそうです。

淀川区の劇団そとばこまちに所属する田中尚樹さんが演じる「すいみんドクターK」が、ヨドネル6000人調査でわかった研究結果について解説する、という内容になっています。

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ADHDの「片付けられない」とアスペルガーの「捨てられない」の違い―脳の発達は視覚によって導かれる

溜め込み障害は強迫関連障害に属し、DSM-5で新たに登場した項目である。

これは子どもにないではないが、一般的には成人の問題である。それをあえてなぜ取り上げるのかというと、われわれ児童精神科医が遭遇することが稀ではないからである。

…われわれの経験では圧倒的にAD/HD(片付けられない)よりASD(捨てられない)のほうが目立つのであるが。(p55-56)

れは、臨床家のためのDSM-5 虎の巻という本で、児童精神科医の杉山登志郎が書いておられる「溜め込み障害」(Hoarding Disorder)についての一文です。

発達障害かどうかにかかわらず、部屋が散らかって片付けられないことに悩んでいる人は多いでしょう。本人よりも家族が頭を抱えることが多いかもしれません。

片付けられないことそれ自体は、病気や障害というほどではありませんが、ときどきメディアで報道されるゴミ屋敷のような、明らかに健康に支障を来たし、近隣の迷惑にもなるような状態は、医療の対象になるれっきとした病気です。

冒頭の説明が示すとおり、部屋が散らかるといっても、その原因には大きく分けて、どうやら2通りのタイプがあるようです。

きれい好きな人から見れば、概して同じに思えるかもしれませんが、かたやADHD(注意欠如多動症)に多い「片付けられない」と、かたやアスペルガー(自閉スペクトラム症:ASD)に多い「捨てられない」は、じつは別物なのです。

このエントリでは、「片付けられない」と「捨てられない」はどう違うのか。なぜそうなってしまうのか、という点を考えましょう。

そして、さらに視覚はよみがえる 三次元のクオリア (筑摩選書)などの本を参考に、両眼視機能視覚性ワーキングメモリといった見る力が、発達障害のさまざまな個性が形作られていく上で、意外なほど大きな役割を果たしているということを分析してみたいと思います。

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創造的な人がもつ複雑で多面的な人格の10の特徴―HSPや解離とのつながりを考察する

重要なのは、ただ単にある特定の性格特性を身にまとうだけでは創造性の衣鉢を受け継ぐことはできないということである。

人は僧侶のように生きても、身体を酷使して無理をして生きても、創造的であり得る。

ミケランジェロは女性にそれほど興味を示さなかったが、ピカソは常に女性を求めていた。彼らの性格に共通点はほとんどないが、しかし、両者は絵画の領域を変えたのである。(p64)

造的な人に「ある特定の性格特性」などない。

自信を持って、そう言い切ってしまえるのは、創造性について、豊富な調査と研究を積み重ねてきた第一人者、ミハイ・チクセントミハイをおいてほかにはいないでしょう。

今日、さまざまなメディアで、創造性、クリエティビティについて、ありとあらゆることが取り上げられています。

創造的な人は外向的だとする記事もあれば、内向性人間の時代が来たとする学者もいますし、朝型人間のほうが、あるいは夜型人間のほうがクリエイティブだとか、コーヒーブレイクや瞑想が役立つなど、さまざまな意見が飛び交っています。

そんな中、心理学者ミハイ・チクセントミハイは、創造性とは何か、という研究にあたって学術的なアプローチをとり、フロー理論など、さまざまな革新的な発見を積み重ねてきました。

そして、創造的な人には特有の性格特性や習慣があるどころか、「ただ単にある特定の性格特性を身にまとうだけでは創造性の衣鉢を受け継ぐことはできない」という結論に至りました。

しかしそれは、結局のところ創造的な人に固有の特徴などないのだ、というお手上げ状態を意味する言葉ではありません。

むしろ、チクセントミハイは、メディアで交わされる創造性についての表面的な論議を超えて、創造的な人の深みに共通する、不思議で奇妙な、ひとつの性質へとたどり着きました。

この記事では、チクセントミハイの代表的な著書クリエイティヴィティ―フロー体験と創造性の心理学を通して、創造的な人に見られるある一つの性質の10の側面について考えます。

そして、その性質が、このブログで取り上げてきたHSP(人いちばい敏感な人)という概念や、幼少期の愛着、そして解離という心の機能と、どのように結びついているかに注目したいと思います。

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自閉症は脳の過成長、ADHDは脳の成熟の遅れー脳画像研究による発達の違い

閉症とADHDそれぞれの脳の発達の傾向に関する研究が報道されていました。

以前から言われていたことですが、自閉症は早期に生じる脳の過成長が、一方ADHDは脳の発達の遅れが関係しているようです。

Nature ハイライト:早期脳過成長から自閉症スペクトラム障害を予測できる | Nature | Nature Research

ADHD、脳の大きさにわずかな差 大規模研究で確認 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News 

自閉症で脳のサイズが大きくなるのは、「シナプスの刈り込み」という脳の機能の最適化が十分に行われないことが一因だと考えられています。これは変化に柔軟に適応していくことの苦手さと関係している可能性があります。

またADHDでサイズが小さいことが確認された部位には、PTSDなどトラウマへの脆弱性と関係している部位が含まれていて、ストレス耐性の低さないしは過敏さを示唆しているのかもしれません。

この記事では、それぞれのニュースをもとに、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)の脳の特徴について考察してみたいと思います。

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