■しかし、わたしはその人から心理的暴力などで痛めつけられてきた
■そのことを周りに訴えても、だれも信じてくれず、かえってその人の味方をする
■その人はまったく家庭を顧みず、配偶者や子どもを物としか思っていない
■平気で浮気をして、いつ家にかえってくるかもわからない
■罪悪感や良心のかけらもない
あなたの身近に、このような人がいますか? もちろん判断には慎重になるべきですが、その人はもしかすると「サイコパス」と呼ばれる種類の人かもしれません。
サイコパスというと、テレビなどのメディアでは、連続殺人犯や精神異常者のように描かれがちです。
しかしその実態はまったく異なります。サイコパスは「いい人」という評判を得ていて、正義感があり、良識ある人とみなされていることさえあります。だからこそ、彼らに苦しめられている人が訴え出ても、だれもそれを信じてくれないのです。
この記事では、良心をもたない人たち (草思社文庫)という本などに基づき、サイコパスを見分けるのに役立つ10の特徴、そしてサイコパスが生じる原因や、身を守るのに役立つアドバイスをまとめました。
目次 (お好きなところから読めます)
これはどんな本?
この本良心をもたない人たち (草思社文庫)はサイコパスについて解説した本です。著者のマーサ・スタウトはセラピストとしてサイコパスの被害者たちだけでなく、サイコパスの本人たちとも面識があります。
とても分かりやすい言葉遣いと、豊富な事例から、「良心を持たない人々」とはどういうものなのかが、具体的に説明されています。
Amazonでも100件を超えるレビューがついていて、とても評価の高い一冊です。
また、サイコパス・インサイド―ある神経科学者の脳の謎への旅は、脳画像を通してサイコパスの研究をしていた神経科学者ジェームズ・ファロンが、なんと自分がサイコパス特有の脳を持っていることに気づき、自分の人生や考え方を分析した本です。
著書はあるとき殺人犯たちの脳スキャンを分析していて、「所見報告を書き上げていた画像の中でも、まさしくもっとも異常なもの」を見つけたので、名前を調べさせました。なんとそれは“健常人”の比較対象にするつもりで撮った自分の脳でした。(p8)
彼は意味がわかりませんでしたが、家系調査によって、自分の先祖に凶悪犯罪者たちが大勢いることを知ります。遺伝子調査では、危険因子を「ほぼ満額回答に近かった」というほど持ち合わせていました。(p76,122)
彼は自分の経験から、サイコパスの中には犯罪に手を染める反社会的なサイコパスだけでなく、一見社会に溶け込みながらも、人を物のように扱ったり精神的に傷つけたりする向社会的サイコパス(マイルド・サイコパス Psychopass Lite)がいることに気づき、自分はまさにそれだと実感しました。
著者が語る、自身の人との接し方や考え方などは、それを聞いた友人の精神科医が「明らかにショックを受けた」と著者自ら書いているほど常軌を逸するものですが、サイコパスの人たちの常識が、他の人たちとどれほど違うかがよく理解できる一冊です。(p217)
サイコパスとは?
冒頭で述べたように、一般にサイコパスというと、猟奇的殺人犯などの印象が強いかもしれません。
しかし実際には、サイコパスにも個性があり、色々なタイプがあります。高い社会的地位を得て、権威者として振舞っている人もいれば、普通の家庭を築いて子どもを持っている人もいます。殺人犯になるようなサイコパスはごくまれです。
むしろ、表向きは非常に良い人に見せかけながら、見えないところで弱い人、部下や家族などを異常なほど虐げ、精神的に支配している人たちこそがサイコパスなのです。良心をもたない人たち (草思社文庫)にはこうあります。
子どもを道具として利用する母親、弱い立場の患者の力を意図的に奪うセラピスト、誘惑して相手の心をあやつる恋人、あるいは銀行口座をからにして行方をくらますビジネスパートナー、人を利用したあと自分は何をしていないとうそぶく魅力的な“友人”だったりする。(p71)
彼らの手口はさまざまですが、ひとつのことが共通しています。それは「良心を持たない」ことです。
この記事のタイトルにあるように、サイコパスは、ある統計ではアメリカ人口の4%、つまり25人に1人を占めると考えられています。
およそ25人に1人の割合でサイコパス、つまり良心をもたない人たちがいる。彼らは善悪の区別がつかないわけではなく、区別はついても、行動が制限されないのだ。
頭で善と悪のちがいはわかっても、ふつうの人びとのように感情が警鐘を鳴らし、赤信号をつけ、神を恐れることがない。(p20)
しかしこれは、後で述べるとおり、反社会性パーソナリティ障害をサイコパスと同じものととらえた場合の数値であり、文化によっても割合が大きく違うと言われています。
サイコパス・インサイド―ある神経科学者の脳の謎への旅の著者は「100人も参加しているパーティーならば、おそらく一人くらいサイコパスがいるし、そいつは人の弱みを探し回っている」と見積もっています。(p235)
ですから、25人に1人という数字にはあまりこだわらないほうが良さそうです。
それよりも重要なのは、サイコパスを見分ける目を持つことです。そのために、サイコパスの10の特徴を紹介しましょう。
サイコパスの10の特徴
サイコパスの人たちは、普通の人たちの中に紛れ込んでいて、良い評判を得ていることも多いので、専門家でさえ、サイコパスを見分けるのに苦労し、だまされることもあります。
しかしもしあなたの身近な人がサイコパスだとしたら、そしてその身近な人の裏表ある言動によってだれよりも傷つけられてきたとしたら、あなたは以下の特徴を見て、その人がサイコパスかどうか見分けることができると思います。
1.すごく魅力的な人たち
サイコパスというと猟奇的殺人犯や精神病質者を思い浮かべるかもしれませんが、決して一目見て異常を感じるような人たちではありません。
サイコパスの最も大きな特徴は、意外にも、彼らが、非常に良い人、魅力的な人に思えるということです。良心をもたない人たち (草思社文庫)にはこう書かれています。
サイコパスは、それでほかの人びとの目をくもらせる―一種のオーラとかカリスマ性を放つのだ。
そのため彼らは、最初のうちは、まわりにいるふつうの人びとよりずっと魅力的でおもしろい人間に見える。
ほかのだれよりも気さく、真剣、“複雑”、セクシー、楽しい、といった印象を与える。(p16-17)
サイコパスは、「世界一感じのいい人」とさえ思えることがあると書かれていてます。最初に出会ったとき、またまだ深く関わっていなときには、親切で正直で、心優しく正義感の強い人にさえ見えるのです。(p94)
あるサイコパスの女性セラピストは、勤務していた病院で10年近く気づかれなかったそうです。しかし彼女のカウンセリングを受けた人たちは非常に巧妙な仕方で人生を破壊されていました。(p103)
著者はサイコパスの犠牲者たちについてこう述べます。
私が診療にあたった犠牲者の多くは、サイコパスとつきあいはじめたのも、苦痛を与えられながら関係をつづけたのも、相手があまりに魅力的だったからだと語った。
「彼女をずっと前から知っていたような気がした」「彼にはほかの人にないエネルギーが感じられたんです」人びとが首を振りながら、こんなふうに話すのを何度見てきたことか。(p117)
サイコパスの人たちは、その異常さが一見まったくわからず、むしろとても魅力的にさえ思えるので、多くの人を操り、自分の手駒として扱うことができるのです。
サイコパス・インサイド―ある神経科学者の脳の謎への旅によると、サイコパスの人は友人を見つけるのに苦労しませんし、自分を魅力的に見せかけるすべにたいへん長けています。
サイコパスは友人を見つけるのに困難を感じないことが知られている。〈サイコパスの〉殺人者たちが刑務所から出てくるのを待ち焦がれている女性たちが常にいることに気付かされる。
サイコパスにはしばしば嘘をつかれてもよいと思っているようなパートナーがいて、彼女らを優しく扱うことに長けている。(p234)
2.身体的な暴力は少ない
サイコパスというと、とても攻撃的かつ冷酷で、ドメスティックバイオレンスを働いたり、平気で人を殺したりする人を思い浮かべるかもしれません。
しかし良心をもたない人たち (草思社文庫)によると、そのようなサイコパスは少数です。
サイコパスの多くは殺人者ではない。少なくとも自分の手で殺すことはない。(p70)
サイコパスが、身体的な暴力を振るうことは比較的少ないと言われています。
むしろ彼らはもっと破壊的で巧妙な仕方を用います。つまり心理的な虐待や追い詰める言葉によって、周りの人の心を操り、ときには深い傷を刻むのです。
サイコパス・インサイド―ある神経科学者の脳の謎への旅の著者は、自分の復讐のやり方についてこう述べています。
誰かが私をひどく怒らせた時には、私は即座に怒りを押さえることはできる。もし私のことをよく知らない者なら、私が腹を立て、当人にひどい怒りを覚えていることには気づかないであろう。
怒りの噴出を押さえ、復讐心を隠してしまうことに私はひどく長けている。何年も復讐を先延ばしにすることもできる。
しかしある時点で、当人がまったく予期していないときに復讐してやる。…私にとってそれは面白いことである。
…私はされたことに見合う復讐をすることに細心の注意をはらっている。多くも少なくもなく、である。また誰に対しても身体的に傷つけることには私は関心がない。(p216-217)
また、彼は、サイコパスは自分の暴力的な衝動を自在に制御できてこそサイコパスなのであり、もし冷静さを失って暴力を振るうようなことがあるなら、サイコパス失格だとまで述べています。
私は歓喜を得るためにいかに人をひどい目に数多くあわせてきたのかを既に述べた。
しかし私は誰も殺害したり、傷つけたりしようとは思わない。盗みや嘘をつくことも好きではない。それは敗北者の行為である。
もしもそんなことをする羽目になったら、サイコパスとして失格となる。暴力は粗暴で、面白みを破壊してしまう。(p243)
怒りに我を忘れたり、カッとなって暴力を振るったりする人は、後で説明するようにサイコパスではなくADHDや自己愛性パーソナリティ障害など別の障害に当てはまるでしょう。
3.平気で嘘をつく
良心をもたない人たち (草思社文庫)によると、サイコパスの大きな特徴は、嘘をつくことに何のためらいもないということです。
特徴をあげると、彼らは人を惑わせて危険な冒険に引きずりこむ。共通して病的に嘘をつき、人をだます。(p17)
サイコパスが嘘をついていることは、普通まわりの人にはまったくわかりません。たとえ嘘で塗り固められていても、知能の高さゆえにそれを事実として相手に信じさせることもできるからです。
しかしサイコパスの人と親しくなった友人や、結婚した配偶者は、サイコパスの人が自分に言う言葉と、周囲の人に対して言う言葉にあからさまな違いがある、ということを知って愕然とします。
サイコパスは、人の信用を得たり、人に感銘を与えたりするためなら、ためらいなく嘘をつき、自分を偽ることができるのです。
サイコパス・インサイド―ある神経科学者の脳の謎への旅の著者もこう言います。
良心的な大半の人は彼らの考えと感情とに背いて正体を曝露してしまう。このことはなぜ大多数の人がポーカーゲームに弱いのかを説明してくれる。
しかしサイコパスは彼らの本当の意図を隠す名人である。彼らに安心感を与えるようで、その実は有害な性質の一つは嘘をついている時でも冷静でいられることである。(p233)
4.異常に自信家
サイコパスの人がはじめ魅力的に見える理由の一つには、彼らが自信に満ちあふれていて、強い意志を持っているかのように思える、ということがあります。
たとえば良心をもたない人たち (草思社文庫)に出てくるあるサイコパスの人は、このように述べて、心を動かそうとします。
「ぼくと君とは似た者同士だ」
「あなたとは心が通じあえるの」(p120)
そしてはっきりと成功を保証します。
突飛に聞こえるだろうけど、ぼくらが力をあわせればぜったいうまくいく。(p118)
いますぐ結婚しよう。この退屈な集まりから抜けだして、二人きりでどこかへ行こう。(p118)
こうした確信のこもった言葉を聞くと、多くの人は惑わされがちです。この人なら、本当に、わたしを幸せにしてくれるかもしれない。そう感じることさえあります。
しかし親しくなるうちに、誇大妄想的な言動にも気づくかもしれません。
「僕がどれほど特別な存在か、いつか世界中が知るようになるだろう」
「僕とつきあったら、もうほかの男じゃ満足できなくなるよ」(p17)
そのような言葉を聞いて、もし少しでも不信感を感じたら、すぐに関係を絶つべきです。
しかし多くの人は、自信に満ちあふれている魅力的な言葉にあざむかれ、誇大妄想的な言動に感じる少しの違和感は許容してしまいます。
5.家族は「もの」でしかない
サイコパスの人たちは、家族を持つことがよくあります。サイコパスの男性であれば、しっかりと妻も子どももいることがしばしばです。
しかしそれは、異性を愛して、幸せな結婚生活を送りたい、あるいは子どもを持ち、安定した家庭生活を築きたい、という通常の動機によるものではありません。良心をもたない人たち (草思社文庫)にはこう書かれています。
サイコパスは自分本位の理由で結婚することはあっても、愛のために結婚することはない。(p161)
サイコパスの人たちが結婚する動機は、自分の社会的なステータスとしての価値を高めるためです。配偶者や子どももいることで自分が一人前のしっかり自立した人間であることをアピールしようと思っているのです。
口では愛していると言いながら、その愛情は底が浅く、長続きせず、ぞっとするほどの冷たさを感じさせる。
…サイコパスにとって結婚相手が価値があるとすれば、それは所有物としての価値で、彼らは失うことに腹を立てるが、悲しんだり責任を感じたりすることはいっさいない。(p17-18)
サイコパスの人にとって、家族は、世間体を保つ、という名目のために服につける身分証明パッジにすぎません。
あるサイコパスの男性が結婚したのは、その女性なら、何十年も自分に連れ添い、自分のあやしげな行動に文句ひとつ言わないだろうとすぐさま見抜いたからでした。(p120)
彼の母親は無視されるか、なぶられる。彼の妹は苦しめられる。ほかの女たちは性的略奪の対象にすぎない。
…彼の部下は操作し利用する相手であり、友人たちも同様である。
妻も子どもも世間体のための存在であり、カムフラージュだ。(p64)
サイコパスの人は、家族を持つとしても、それは単なる所有物にすぎないので、家族に対する責任を果たそうとはしません。
家族を感情的に顧みることはありません。サイコパスの人に家族を愛するという概念はないからです。
彼は愛せないのだ。友人や家族が病気になったり困ったりしても、心配をしない。(p67)
サイコパスの人は、配偶者が入院しても一度も見舞いに行かないことがあります。(p188)
いつも家にいながら子どもにまったく興味を示さない場合もあります。(p145)
配偶者や子どもをトロフィーのように考えているので、家族がもし病気になったり、障害を抱えたり、落第したりしたら、もう何の価値も感じません。(p187)
ときどきすごく夜遅く帰ったり、週末いっぱいどこかへ出かけたりすることもあります。まともな家庭生活は送らないのです。(p190)
サイコパス・インサイド―ある神経科学者の脳の謎への旅の著者は、自分の振る舞いをこう振り返っています。
子どもたちが生まれた時、私たちは幸せに酔いしれていた。しかし子どもらが実際に出生してしまうとすぐに、外出し、幾晩も集まっては祝杯を重ねていた。(p149)
私はまたパーティー参加を続けていて、11時まで研究し、怪しげなナイトクラブに入り、ダンスコンテストに飛び入りし、賞金を幾らか得たりした。
朝の五時に帰宅していたが、ダイアンは、「あなたの仕事は11時で終わっているとばかり思っていたわ」と言うので、私は、「そうだとも、11時で終えて、それから出かけて、ほらごらん、ダンスで100ドル稼いだんだよ」と言ったことがあった。(p151)
彼は、子どもたちや家族に愛着を感じなかったので、ほとんど留守にして、普通の家庭生活を送らず、楽しいことばかり追い求めていました。彼にとって子どもたちはゲームの遊び友達でしかありませんでした。
6.人の感情は数学的ゲーム
サイコパスの人は周りの人を「人間」ではなく「物」として考えます。良心をもたない人たち (草思社文庫)によれば、それは実際に脳機能の測定によって確かめられているそうです。
サイコパスの被験者は、感情的な言葉をもとにした意思決定テストをあたえられたとき、ほかの被験者に比べて、側頭葉への血流量が増加した。
…サイコパスの人は、ふつうの人がほとんど反射的に解くような、感情的な言葉にもとづく問題をあたえられると、代数問題を解くときと同様な生理反応をするのだ、(p158)
彼らにとっては、「愛」について考えるのも、数独パズルを解くのも、まったく同じゲームでしかありません。区別がつかないのです。
サイコパス・インサイド―ある神経科学者の脳の謎への旅の著者は、自分が妻や子どもに特別な愛着を感じることはないと述べています。
こうして、私はいかなる意味でも隔てのある。冷たい、無関心な父親ではなかったが、子どもに私が魅力を感じ、これを支配していたのは、暖かさよりも、娯楽であり、知的関心であつた。(p150)
自分で思うに、他者との繋がりの私特有の欠如を特徴付けるもっともうまいやり方は、私は共感的に動きのない平地に住んでいる、という表現である。
私には少しの共感性はあるのだけど、家族だろうと、完全に赤の他人であろうと、誰でも同じように扱う傾向が私にはある。(p172)
サイコパスにとっては夫婦や親子の愛情の結びつきなどなく、ただ自分にとって面白いか面白くないか、役立つか役立たないかだけです。
7.支配することにしか興味がない
サイコパスの人の行動動機は、「愛」ではなく「支配」です。いかに多くの人を操り、自分の支配下に置くか、ということが彼らにとってのパズルゲームなのです。
ですからサイコパスの人は支配欲が強く、権威あるポストについていることがよくあります。
能力が高ければヒトラーやムッソリーニのように指導者となることもありますし、それほど能力が高くない場合は、少数の人々をそこそこ支配できる小さな会社の社長などの立場に身を置いていることがよくあります(p10)
いずれにしても、良心をもたない人たち (草思社文庫)に書かれているように、彼らは権威をうまく用いて人を操ります。
生まれついての役者である彼らは、社会的・職業的役割をフルに活用する。(p122)
政治家、社長、教師、牧師、専門家などの権威をうまく使って、人に感銘を与えたり、自分の言いなりにならせたりするのです。サイコパスは人間が権威に弱いことをよく知っています。
サイコパス・インサイド―ある神経科学者の脳の謎への旅の著者は、こうまで言い切っています。
それというのも私が他人の気持ちへの感情的斟酌をほとんどせずに、勝利を得るためなら、あるいは自分が望むことなを相手にさせるためなら、私が何をしようとほとんとせ良心のうずきというものを感じないからである。
…人を欺くことが楽しいのではない。人を操作することの方がズーッと楽しい(サイコパスの主要な特徴)。(p165)
8.自分の健康を病的に気にする
サイコパスの人は、自分の魅力に気づいていて、それを武器として用いています。
身体的な魅力によって、人をたぶらかし、複数の人と性的関係を結ぶことは彼らの常套手段です。
良心をもたない人たち (草思社文庫)によると、彼らにとって、自分の魅力的な肉体という武器を保持することはとても大事なことなので、健康を病的に顧みることがあります。
サイコパスは完全に自己中心なため、体のあらゆる小さな痛みや痙攣に対して自意識が非常に強い。
…その不安と警戒はつねに例外なく自分自身に向けられるため、サイコパスは自分の健康を病的に不安がる心気症患者のようにもなる。(p241)
病気になることを恐れて、極端な健康食品などに手を出したり、美容や容姿に過剰なまでに気を使ったりします。
アドルフ・ヒトラーはがんになることを恐れるあまり、特別な治療薬を大量に服用し、その結果、本当に病気になったとも言われています。
またアドルフ・ヒトラーや(おそらくサイコパスではなく自己愛性パーソナリティ障害だと思われる)ドナルド・トランプは、一種の強迫症状である細菌恐怖症を持っていると指摘されていました。
とはいえ、サイコパスの人たちは、普通の意味でのストレスを感じないので、肉体的には普通の人たちよりも健康面で優れているようです。
サイコパス・インサイド―ある神経科学者の脳の謎への旅の著者も強迫症状やパニック障害を併発していましたが、それでもこう書いています。
サイコパスのように自然にストレスを感じることがほとんどない人間は、この免疫システムが常に最高の状態で機能しているので、その全人生において多くの病気を回避できる。(p234)
近年の強迫性障害の研究では、それは一種の免疫系の過剰反応ではないかと考える研究者もいます。そうだとすると、サイコパスの免疫系では、特定の脅威に対する免疫寛容が発達していないのかもしれません。
たとえば、幼いころ、あまりに清潔な環境で育つと、免疫系が細菌などに対するバランスの取れた反応(免疫寛容)を学べず、大人になってから本当は脅威でないものに対して過剰反応してしまい、アレルギーや自己免疫疾患になります。
サイコパスも、幼いころから普通のストレスを感じないせいで、ストレスを正しく見分けて処理する免疫系が正常に発達せず、本当は危険でないものに対して過剰反応を起こし、それが強迫症状として現れやすいのかもしれません。
9.同情心に訴える
サイコパスというと、一般に恐怖で人を支配するような独裁者が思い浮かぶかもしれません。ところが、良心をもたない人たち (草思社文庫)によるとそうではありません。
平気で悪事をする人びとのあいだでもっとも普遍的な行動は、ふつうの人が予想するように、私たちの恐怖心に訴えるものではない。私たちの同情心に訴えるものなのだ。(p136
サイコパスは、自分の演技によって、人を惑わすのが得意です。あまりに真に迫っているので、その演技を見て多くの人は、その人は本心から悪いことをしていたのではなかったのだ、と考えて同情します。
皮肉にも、自在な感情表現がサイコパスの第二の天性になる。相手の悩みや情熱にたいしする興味津々な態度、胸を叩いて訴える愛国心、正義感あふれる憤り、謙虚に赤らめる顔、悲しげなすすり泣き。思いどおりに流す空涙はサイコパスの得意わざだ。(p122)
サイコパスは、同情心をひき、言葉や演技で人を引き付けるので、何も知らない人たちは、サイコパスに同情し、味方になります。
家庭を持っているサイコパスの場合は、子どもを利用することもあります。何も知らない子どもを味方につけ、悪いのは配偶者の側だと思い込ませるのです。(p150)
もちろん、同情心を引こうとするだけでなく、相手が弱い立場の人であり、二人きりであるなどの状況の場合には、逆恨みをして怒りだしたり、権威によって相手を脅したりすることもあります。(p122)
アドルフ・ヒトラーの妻の生涯について書かれたこちらの記事は、何も知らずサイコパスによって振り回されてしまう人が、いかにして破滅に追い込まれるかを知る助けになると思います。
ヒトラーの妻、エヴァ・ブラウンにまつわる10の悲劇 : カラパイア
10.「おかしいのわたしのほうだ」と思い込ませる
サイコパスの人は、自分を魅力的な見せかけたり、同情心を引いたりするのがうまいので、深く知らない人たちは、すぐにサイコパスの味方をします。
その結果、サイコパスに痛めつけられてきた被害者がサイコパスの所業を訴えても、周りの人たちは、被害者ではなく、サイコパスの人のほうに味方し、サイコパスの人の言うことのほうを信じます。
良心をもたない人たち (草思社文庫)にはこう書かれています。
まず頭に浮かんだのは、「なぜあの人が、こんな恐ろしいことを?」という疑問だった。サイコパスの行動を知ったとき、人びとはつねにこの同じ疑問を抱く。
…多かれ少なかれ自分の精神状態を疑いはじめる。そしてサイコパスがなにをしたかを人に打ち明けると自分自身の正気が疑われるため、話すのをためらうようになり、口を閉ざしてしまう。(p126-127)
被害者がいくらサイコパスの人にされたひどい仕打ちを訴えようとしても、友人や親族、会社の同僚に信じてもらえないことがよくあります。
あんな「いい人」がそんなひどいことをするなんて信じられない。何かの間違いではないか。大げさに言っているだけではないか、と言われることもしばしばです。
もっとひどい場合には、反対に被害者のほうが「いい人」を中傷する悪者、精神異常者とみなされることもあります。サイコパスの人は、周りの人を味方につけ、被害者を集団で攻撃したり、迫害したり、追い詰めたりします。
「被害者みたいにふるまうんです。赤ちゃんが泣くと、耳をふさいで苦しそうな表情をつくって、部屋を歩きまわるの。まるで自分がひどい目にあわされているみたいに。私に同情してくれとでも言いたげでした」(p144)
サイコパスの原因は何か
このようなサイコパスの原因はどこにあるのでしょうか。彼らは複雑な家庭環境や虐待などの被害者なのでしょうか。
研究によると、サイコパスの原因には遺伝と環境が半々ずつぐらい関与しているそうです。
遺伝率は約50%
まず、良心をもたない人たち (草思社文庫)によると、サイコパス的な気質の遺伝率についていえば、どの調査でも、だいたい50%くらいとの結果が出ているそうです。
テキサス里親プロジェクトの報告によると、Pdに関しては、子どもは育ててもらった両親より、実際には会ったことのない実の母親と強い共通点があった。この研究では、遺伝率は54%と推測された。(p156)
Pdとは「サイコパス的逸脱」測定のことで、
■攻撃的
■衝動的
■経済的責任を果たそうとしない
■仕事のしかたにむらがある
■同時に複数の女性と関係をもつ
■良心の呵責を感じない
といった項目からなります。
もっとも、これらが全部サイコパスの人特有のものではありませんが、少なくともサイコパスの素質としては遺伝的傾向がある程度の役割を果たしています。
サイコパスの遺伝率が高い背景には、その遺伝子を持つ人が過去の歴史で成功を収めてきたという事情があるのかもしれません。
良心が欠けていて、平気で人殺しができる指導者や兵士は、戦争で勝者になりやすくなります。すると彼らが繁栄した結果として、子孫にサイコパスの遺伝子が受け継がれます。(p176)
たとえばモンゴルでは、8%の人にチンギス・ハーンの遺伝子が受け継がれているそうです。(p234)
文化によって出現率が変わる
次に、環境の影響ですが、サイコパスに関係する環境因子は、社会文化的背景だといわれています。
サイコパスの人は、自己中心的な欧米社会では多く出現し、前述のとおり25人に1人と見積もられています。しかし日本を含め、協調性が重視されるアジアでは出現率がもっと低いそうです。
しかしこれは、サイコパスを発症しやすい文化がある、という意味ではないかもしれません。
むしろ、良心をもたない人たち (草思社文庫)によれば、文化の影響によって、サイコパスが目立つか、それともあまり目立たなくなるかが変化する、といった意味にすぎない可能性があります。
サイコパスは自分のまわりの世界を気にしないが、その中にまぎれこむことは必要であり、まぎれこみたいと思っているのだ。(p174)
サイコパスは自分の姿をくらませて、「いい人」のふりをすることで人を惑わします。そのためには周囲の文化やルールにしたがうことが必要です。
協調性の強い文化のもとでは、自分の利得のために、法律やルールを進んで守ることもあります。もちろんそれは良心に促されて従っているわけではなく、そうするほうが都合がいいからです。
すると表面的には、社会的逸脱行為をするサイコパスの人は目立たなくなるかもしれません。目立たないことによって、彼らは別の巧妙な方法で支配ゲームを楽しむことができます。
サイコパスは愛着障害ではない
このブログでは、子どものころの虐待やネグレクトによって親との愛着関係が損なわれることにより、反社会的な性格が作られていしまう「愛着障害」について、繰り返し取り上げてきました。










