ネガティブなのに成功する「防衛的悲観主義」―不安に敏感なHSPの人に向いている?


「物事はポジティブに考えたほうがよい」。

読者の中にはそう思っている人が多いのではないだろうか。心理学の分野でも、「ポジティブ思考が美徳である」というのがこれまでの支配的な考え方であった。(p29)

近年、悲観主義者のなかにも、物事をネガティブに考えることで成功している適応的な悲観主義者(これを防衛的悲観主義者という)がいることがわかっている。

防衛的悲観主義とは、前にうまくいっているにもかかわらず、これから迎える状況に対して、最悪の事態を予想する認知的方略のことである。(p30)

年、何事もポジティブに考えればうまくいく、というアドバイスがよくみられます。いえ、近年というより、これは古くからさまざまな文化に根付いてきたおまじないのようなものかもしれません。

確かに、いつも前向き、積極的で、期待に満ちている人は生き生きとして見えます。時流に乗った有名人や起業家がポジティブな発言を繰り返しているのを見ると、ああやっぱり前向きな人が成功するのだ、と思えてしまうかもしれません。

しかし彼らは本当にポジティブだから成功してるのでしょうか。それとも、じつは因果関係が逆で、運良く成功しているからポジティブになっているだけなのでしょうか。

盲目的とさえ言える現代のポジティブ信仰に楔を打ち込むのは、冒頭に引用したような、「防衛的悲観主義」と呼ばれる人たちについての研究です。

心理学の研究によると、成功してるのは何もポジティブな人たちばかりではありません。その対極に位置しているように思われる、徹底して悲観的に予測する人たちもまた、楽観主義者と変わらないほどの成功を収めているといいます。

防衛的悲観主義とは、どんな考え方なのでしょうか。その人たちが成功する秘訣はどこにあるのでしょうか。さまざまな専門家の研究を調べてみましょう。

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これはどんな本?

冒頭で引用したのは、「前向きな子」を特集した児童心理 2017年 01 月号 [雑誌]です。

数々の前向きな考察に混じって、筑波大学准教授の外山美樹先生による「ネガティブ思考がよい結果を生むとき」と題する後ろ向きな考察が収録されていて、防衛的悲観主義が扱われていました。

また防衛的悲観主義を提唱したジュリー・ノレムによるネガティブだからうまくいく(原題:The Positive Power of Negative Thinking ネガティブシンキングのポジティブな力)も参考にしています。

防衛的悲観主義は、ポジティブ心理学関連の書籍で時おり話題が出てくるので、過去記事でも何度か言及したことがあります。

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