【1/21】柴山雅俊先生の新刊「解離の舞台 症状構造と治療」が発売予定

のブログの解離関係の記事で大いに参考にさせていただいている、解離性障害の専門家、柴山雅俊先生による解離の解説書の新刊解離の舞台―症状構造と治療が、来2017年1月21日に金剛出版から発売されるようです。

内容紹介は以下の通り。

解離の舞台 症状構造と治療/柴山 雅俊 - 紙の本:honto本の通販ストア はてなブックマーク - 解離の舞台 症状構造と治療/柴山 雅俊 - 紙の本:honto本の通販ストア

本書の前半・症状構造論では、「色」「夢」「眼差し」など解離に特徴的な表象を手がかりに、気配過敏、想像的没入、人格交代、空間的変容/時間的変容、幻覚・幻聴など解離の典型的症状を論じながら、当事者の主観的体験世界を触知する。

本書の後半・鑑別診断論では、境界例、自閉症スペクトラム障害、統合失調症との困難な鑑別方法を症候学的観点から解説していく。

そして終盤の治療論では、「救済者」「犠牲=身代わり」「場所」などのキーワードを足がかりとして、夢と現実の境界線上に「いま・ここ」を構築して交代人格と交流をはかり、安全な場所のなかで回復に至る軌跡を描いていく段階的治療論が語られる。

一見すると、6年前の著書解離の構造―私の変容と“むすび”の治療論に近い内容なのかな、と感じられますが、さらに煮詰まった理解が含められているのではないかと思います。

前半部分の「色」「夢」「眼差し」はわたしも気になっているところなので興味を惹かれます。後半の自閉症スペクトラムとの鑑別や、具体的な治療論は、ぜひ知っておきたい知識ですね。

わたしは常々、解離を知らずして創造性は理解できないと思っています。うちのブログは多岐にわたる話題を取り上げていますが、一番思い入れのあるカテゴリーは何かというと、慢性疲労でも発達障害でもなく、間違いなく解離だろうな、と感じます。

柴山先生の本は、毎回、当事者の主観的体験に寄り添った生き生きとした洞察が魅力的で、読んでいて本当に興味深いです。

専門家向けの本らしく、値段は高めで、内容も難しめだと予想されますが、解離を深く知るにはうってつけの一冊ではないかと思います。わたしもぜひ読んでみようと思っています。

柴山先生の解離の本をまだ読んだことのない方には、もっと簡単で一般向けの解離性障害のことがよくわかる本 影の気配におびえる病 (健康ライブラリーイラスト版)をお勧めしておきます。

HSPの人が持つ「差次感受性」―違いに目ざとく脳の可塑性を引き出す力

ある回で、こんな相談が来た。

「私の車のヘッドライトが2つとも同時に壊れたんだ。ディーラーの店に持っていったんだが、電球を2つ交換すればいいだけだって、整備士は言うんだよ。

そんな馬鹿なことがあるか? 電球が2つとも同時に壊れるなんて、偶然にしちゃできすぎだろ?」

それを聞いてトムは即答した。「ああ、そりゃ有名なウェーバー=フェヒナーの法則だ!」。

2つの電球は同時に切れたわけではない―これが答えだ。片方の電球が切れても、それに気づかないまま運転を続けることはよくある。

…電球が2つから1つになっても、差異に気づくとは限らない。しかし、1つからゼロになれば、絶対に気づく。(p60)

ょっとした違いに気づく。

これは多くの人にとってなかなか難しいことです。冒頭に紹介した行動経済学の逆襲のエピソードに出てくる車のヘッドライトの故障にしても、有名な茹でガエルの法則にしても、ちょっとずつ変化していくものは手遅れになるまで気づかないことがよくあります。

変化が小さいとなかなか気づけない現象は、心理学ではウェーバー=フェヒナーの法則として知られています。

しかし、そんな小さな変化を敏感に感じ取り、すぐさま反応したり、違いを深く考えたりできる目ざとい人たちがいます。

そうした人一倍敏感な人たちが持つ力は、ジェイ・ベルスキーとマイケル・ブルースによって「差次感受性」(differential susceptibility)と名づけられました。その名の通り、小さな差に対する感受性の強さを意味しています。

敏感な人たちは、しばしばストレスを抱えやすい、打たれ弱いといったマイナス面ばかりが注目されますが、本当にデメリットばかりなのでしょうか。

この記事では、おもにひといちばい敏感な子と、脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線という本から、敏感な人たちが持つ優れた能力について考えたいと思います。

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時間知覚の問題としてのディスレクシア―脳のタイミング処理と読み書きの意外なつながり

次に取り上げる研究者たちは、識字障害(ディスレクシア)などの障害の根底に時間計測の能力の欠如があるのではないかという仮説を確かめようとしている。

それが確かめられれぱ、エリナーのような人が経験してる、時間との独特な関係を説明することができる。エリナーはいつも遅刻をしてくるのだが、それは彼女の時間経過についての感覚が正確ではなかったからだ。

私たちが正確に書いたり読んだりできるのは、ノートに書くとき、ペンを正確なタイミングで動かしたり、並んだ文字を正確なタイミングで読んだりできるからなのだろうか?(p77-78)

年、学校の勉強についていくのが難しい子どもが、学習障害(LD)や、その一種であるディスレクシア(読み書き困難)といった問題を抱えていることが知られるようになってきています。

LDやディスレクシアの子どもは、落ちこぼれになったり、不当にも怠けているとみなされたりしますが、本当は、脳の発達が他の子どもとは異なるためにうまくできないだけで、人一倍頑張っているのに結果が伴いません。

学習障害(LD)やディスレクシアという名前が示すとおり、そうした子どもたちの問題は読み書きなどの勉強がうまくいかないことだと思われがちです。

でも、冒頭で紹介した脳の中の時間旅行 : なぜ時間はワープするのかの説明が示すように、根底にはもっと大きなメカニズムがひそんでいるようです。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のBuonomano准教授などの研究者たちは、ディスレクシアの読み書きの難しさは、実は、「タイミング」、つまり時間の処理に関わる脳の問題による氷山の一角なのではないか、と考えています。

ディスレクシアを持つ人たちは、単に読み書きに困難を感じるだけでなく、時間の認識が難しかったり、運動がぎこちなかったり、生活全般において、タイミングやリズムの面で苦労してる、「ディスレクシア化された世界」に生きていることが多いのです。

この記事ではいくつかの本に基づいて、時間知覚の観点から、ディスレクシアの本質を考えてみたいと思います。

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「トマティス効果」―なぜ高周波音が聞こえてしまう人は感情読み取りがこまやかなのか

なたは、他の人が気に留めない耳障りな音が聞こえて悩まされることがありますか?

ここでいう耳障りな音とは、耳鳴りのことではありません。耳鳴りを抱える人も持続的な音に悩まされますが、それとは別に、大半の人が気に留めない高周波音が聞こえてしまう人がいます。

この現象は、モスキート音としても知られていますし、電化製品の場合は、一種のコイル鳴きとみなせるかもしれません。

大半の人は大人になるにつれ、高周波音は聞こえにくくなりますが、中には、子どものころからずっと、高周波音が聴こえ続け、耳障りに感じたり、うっとうしく思ったり、あるいはあまりにずっと聴こえるせいで慣れきってしまう人もいます。

わたしの身の回りにも そんな人がちらほらといて、どういうことなのか疑問に思っていたのですが、最近読んだ脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線という本に興味深いことが書かれていました。

それによると、高周波音が聞こえてしまう現象は、おそらくは感情表現の豊かさとも関係しているようです。そして、それとは逆の、細かい感情の読み取りが苦手で、冗談を真に受けてしまうようなアスペルガー症候群など自閉症の人たちについて知る手がかりにもなります。

なぜ高周波音が聴こえることが感情の豊かさと関わっているのでしょうか。「トマティス効果」というキーワードを通して考えてみましょう。

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2016年3月に改定されたME/CFS診断基準、最近の研究でわかった7つのこと

性疲労症候群(CFS)の研究班のウェブサイトで、最新の研究総括が掲載されていました。

日本医療研究開発機構(AMED)障害者対策総合研究開発事業 神経・筋疾患分野「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班 ホームページ はてなブックマーク - 日本医療研究開発機構(AMED)障害者対策総合研究開発事業 神経・筋疾患分野「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班 ホームページ

平成25-27年度「慢性疲労症候群の病因病態の解明と画期的診断・治療法の開発」研究班

平成27-29年度「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班による総括報告

PDFが載せられていたので、ざっと読んで、気になるところを書き出してみました。

具体的には、(1)CFSの実態調査、(2)改定された診断基準、(3)最近の研究でわかったこと について簡単にまとめています。

正式な診断名が、今後ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)に変わること、また起立性調節障害が症状の一つとして併記されたことなど、興味深い点がいろいろありました。

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