今のところ米国の臨床試験の話になりますが、大日本住友製薬の米子会社であるサノビオンが、dasotralineという新規ADHD治療薬の開発を進めているというニュースがありました。
開発中のADHD治療剤dasotralineに関する第2相臨床試験データを公表-大日本住友製薬 - QLifePro 医療ニュース
大日本住友、発達障害の治療薬開発へ 17年度にも米で販売申請 :日本経済新聞
DNRIの新薬ダソトラリン
dasotralineは、ドーパミンとノルエピネフリン(ノルアドレナリン)の再取り込みを阻害するDNRIと呼ばれるタイプの薬です。
半減期は47~77時間と長く、24時間の投与間隔で持続的な治療効果が得られるとのことで、1 日1回使用する、効果が安定して長持ちするタイプだそうです。気持ちを落ち着かせる効果があり、依存性が低いとされています。
DNRIはすでに、ザイバン(ブプロビオン)という薬が禁煙補助薬の形で用いられていて、ADHDにも効果があると言われています。抗うつ薬としてもウエルブトリンという名で発売されています。日本では認可されていませんが、個人輸入で取り寄せる人もいるそうです。
現在の試験では、大人のADHDの患者への効果が認められていて、4mgから8mgを4週間投与したところADHDが改善したとのこと。
大人のADHDの治療に、新薬ダソトラリンは有望か? - MEDLEYニュース
約330人の小児患者を対象した子どもへの臨床試験も進行中とのことです。
予定としては、2016年にも最終的な治験を行い、2017年に米食品医薬品局(FDA)に販売申請して製品化するとされています。発売は2018年になる見込み。
その後の続報によると、ADHDと過食性障害(BED)を対象にした臨床試験では、メチルフェニデートより乱用の危険性が低いことがわかったそうです。
臨床試験では8mg、16mg、36mgが用いられましたが、8mg,16mgではときどき不眠や頭痛が報告され、本来用いる容量を超える36mgになると、メチルフェニデートと同様、副作用が出やすくなったそうです。
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副作用は少なめでしたが不眠、食欲減退、体重減少が見られる場合があり、およそ1割の子どもは服薬中止したそうです。
注意欠如・多動症治療剤として開発中のdasotralineの小児を対象としたフェーズ2/3試験結果の速報について 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
その後のニュースによると、米国食品医薬品局(FDA)と協議のうえで、 2017年に成人および小児のADHDを対象とした新薬承認申請(NDA)を行う予定だとのこと。
新規DNRI「dasotraline」、小児ADHD対象の試験データを発表-米サノビオン - QLifePro 医療ニュース
dasotraline、小児ADHDを対象としたP3試験で主要評価項目を達成-大日本住友製薬 - QLifePro 医療ニュース
こちらの記事によると日本での発売も検討しているとのこと。
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臨床開発部門の責任者、アントニー・ローベル氏は「日本でも知見のある医師らに聞き取りしており、開発を検討している」と話している。