女性のアスペルガー症候群の意外な10の特徴―慢性疲労や感覚過敏,解離,男性的な考え方など


近年、アスペルガー症候群がよく知られるようになりました。

しかし、みなさんが知っていることは、じつはほとんどが男性のアスペルガー症候群の情報です。

女性の場合には悩みごとも対処法も男性とは異なります。

れは、女性のアスペルガー症候群 (健康ライブラリーイラスト版)の冒頭に書かれている言葉です。

アスペルガー症候群(DSM-5では「自閉スペクトラム症:ASD」に統一)というと「空気が読めない」「オタク気質」「理系」といった特徴を持つ男性を思い浮かべる人が少なくありません。

しかし同じアスペルガー症候群といっても、女性の場合は現われる特徴がかなり異なっていて、アスペルガー症候群であることがわからないまま、さまざまな苦労を抱えていることが明らかになってきました。

特に、コミュニケーション能力にはそれほど問題がないように思えても、独特の脳機能に由来するストレスを抱え込み、子どものころから、慢性疲労、慢性疼痛、概日リズム睡眠障害など、原因不明の身体症状を抱える人が少なくないようです。

また、記憶や感覚の処理が普通の人とは違っていて、解離症状を示したり、独特なパニック症状「メルトダウン」や、過去が生々しくフラッシュバックする「タイムスリップ現象」に悩まされる人もいます。

この記事では、そうした女性のアスペルガー症候群の意外な10の特徴、およびその対処法を、さまざまな資料を参考にしてまとめてみました。

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これはどんな本?

今回おもに参考にしたのは、どんぐり発達クリニックの宮尾益知先生による女性のアスペルガー症候群 (健康ライブラリーイラスト版)です。

あまり知られていない女性のアスペルガー症候群について、具体的な情報や対策が豊富で、全ページにわたりイラスト付きで解説されている、とてもわかりやすい一冊です。

この記事で、特に出典元を記さず、ページ数のみ載せている引用は、この本からのものです。

そのほかに、子どもの発達障害とトラウマ治療の第一人者である杉山登志郎先生の発達障害のいま (講談社現代新書)や、マイケル・フィッツジェラルド博士の天才の秘密 アスペルガー症候群と芸術的独創性など、さまざまな資料をもとにしています。

1.アスペルガー症候群に見えない

アスペルガー症候群の診断基準が確立されてからも、症例の中心は男性でした。

男性のほうが女性より数倍多いとされてきました。

しかし、女性の研究が進み、男女で特性の現れ方が違うという説が出てきました。(p56)

女性のアスペルガー症候群の10の特徴を考えるにあたり、一番最初に考慮する必要があるのは、冒頭で述べたように、男性とは症状が異なることです。

男性のアスペルガー症候群に多い、コミュニケーションが苦手なオタク気質のエンジニアのようなステレオタイプに当てはまらないため、一見、アスペルガー症候群とは思えないことが多いそうです。

女性のアスペルガー症候群は男性とは少し違った特徴、すなわち性差(ジェンタ―ディファレンス)があります。

一般に、アスペルガー症候群は、女性よりも男性に多いと言われていますが、もしかすると診断基準が男性向けだったため、女性のアスペルガー症候群が見過ごされてきたのではないか、という可能性が注目されています。

注意していただきたい点として、これから考えるさまざまな特徴は、女性のアスペルガー症候群に多いとされるものですが、一人の人にすべての特徴が見られるとは限りません。

また自閉スペクトラム症は、一般の人から重い自閉症の人まで、連続性をもつものなので、男女問わず、アスペルガー症候群でない人でも、いくつかの特徴が当てはまることは十分にあるでしょう。

たとえ多くの項目が当てはまるとしても、あくまで参考程度にとどめ、自己診断に頼らず、専門家の判断を仰ぐようにしてください。

2.原因不明の体調不良になりやすい

アスペルガー症候群の女性の多くが、睡眠障害をはじめとする体調不良に悩んでいます。

朝起き上がれないくらいの疲労感がしばしばあります。(p30)

アスペルガー症候群の女性は、男性とは違って、ある程度の社会性があり、コミュニケーションもむしろ大人びているので、子どものころはアスペルガー症候群だと疑われることはありません。

しかし、学校に行き始めると、コミュニケーションの問題より先に、原因不明の身体症状という形でストレスが表面化することが多いと言われています。

くらしナビ・ライフスタイル:アスペルガー、女性特有の悩み - 毎日新聞

「女性のアスペルガー症候群」(講談社)などの著書がある「どんぐり発達クリニック」(東京都世田谷区)の宮尾益知(ますとも)院長は「女性のASは気付かれにくく、診断が遅れやすい」と話す。

男性は3歳ごろから特徴が目立ち始め、周囲との衝突が増えるが、女性は小学校中学年ごろから原因不明の体調不良といった形で症状が表れることが多いためだ。

原因不明の体調不良には、たとえば以下のようなものが含まれます。

■慢性疲労症候群
子どもの慢性疲労症候群(CCFS)について研究している兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センターによると、慢性疲労症候群になる子どものうち、かなりの割合に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)がみられると言われています。

慢性疲労症候群の身体症状の中には、絶えず続く重い疲労感、自律神経失調症、原因不明の発熱などが含まれていて、原因としてアスペルガー症候群の神経異常が関係している場合があるようです。

慢性疲労症候群の子ども(CCFS)には発達障害が多い?
小児慢性疲労症候群にはやASD(自閉スペクトラム症/アスペルガー症候群)やADHD(注意欠如多動症)が併発しやすいという最新の研究を、「いま、小児科医に必要な実践臨床小児睡眠医学」

■線維筋痛症
重い疲労が特徴の慢性疲労症候群と類似した病気の中に、ひどい体の痛みを特徴とする線維筋痛症があります。

子どもの線維筋痛症(若年性線維筋痛症:JFM)の研究をしている東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター の宮前 多佳子先生によると、こちらもやはり、素因として自閉スペクトラム症がしばしば認められると言われています。

慢性疲労症候群も線維筋痛症も女の子に多い疾患ですが、いずれの場合も気づかれにくい女性のアスペルガー症候群が関係している場合があるのです。

子供の体の慢性的な痛み「若年性線維筋痛症(JFM)」とは? 原因と治療法
子どもの慢性痛、若年性線維筋痛症とはどんな病気なのでしょうか。どんな治療法が可能でしょうか。東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センターの宮前 多佳子先生による「小児の線維筋痛症」