なぜアスペルガーの人は尊大で怒りやすく見えるのか―人格障害との違い


スペルガー症候群の人が尊大に見えたり、突発的に激しく怒ったりする理由について、解離などに詳しい精神科医の岡野憲一郎先生がブログで解説しておられました。興味深かったので紹介します。

岡野憲一郎のブログ: 自己愛(ナル)な人(推敲 11/50) はてなブックマーク - 岡野憲一郎のブログ:気弱な精神科医 Ken Okano. A Blog of an insecure psychiatrist: 自己愛(ナル)な人(推敲 11/50)

岡野憲一郎のブログ: 自己愛(ナル)な人(推敲 12/50) はてなブックマーク - 岡野憲一郎のブログ:気弱な精神科医 Ken Okano. A Blog of an insecure psychiatrist: 自己愛(ナル)な人(推敲 12/50)

天才の秘密 アスペルガー症候群と芸術的独創性のような本で、過去のアスペルガーの天才たちについて読むと、かなりの頻度で「自己愛傾向」や、「聞く耳を持たない頑固さ」、そして「意見されたときに激しく怒る」といった傾向について書かれています。

たとえばアスペルガーだったと思われる作曲家のエリック・サティは、最も質の高い生き方を目指す妥協のない人で、些細なことにもカッとなり、激怒したと言われています。(p222)

こうした特徴のため、アスペルガーの人たちは、ときに「尊大だ」「ナルシストだ」と言われますが、その理由について考察されています。

スポンサーリンク

1.独特の世界観

それ以来私が出会ったアスペルガー傾向のある人たちは、ある特徴を持っていた。

彼らはある種独特の世界観を有していて、そこから物事を見る。そこには一種の達観があり、「人はこのようなものだ」という開き直りがある。

でもそれが一方的であり、物事の一面しか見えていないという印象を与える。

周囲はそれを伝えようとするのだが、彼らは動じない。むしろ「どうしてこんなこともわからないのか?」という視線を一般人に向ける。

それが時にはひどく傲慢な、あるいは自己愛的な印象を与えるのである。

アスペルガーの人たちは、定型発達者とは違う視点から世界を見て育っていると言われます。それは彼らの認知特性が、定型発達者とは異なるせいです。情報の入力端子が異なるので、頭の中に構築される世界観もまた定型発達者とは違うのです。

自閉症スペクトラム(ASD)の人の見る世界が定型発達者と違う、ということについては、近年研究が進んでいて、その様子を定型発達者にも体験してもらおうという取り組みもあります。

自閉スペクトラム症の独特な視覚世界を体験できるヘッドマウントディスプレイを大阪大学が開発
自閉スペクトラム症の視覚世界を体験できる装置が開発されたそうです。

しかし、単に視覚だけが異なっているわけではなく、頭の使い方そのものが違うので、アスペルガーの人たちは、定型発達者がまったく思いもよらない角度から世の中を見ていることがよくあります。

スピノザやウィトゲンシュタインは、アスペルガーの哲学者と言われますが、彼らが独自の哲学世界を考えだしたのは、生まれつきのアスペルガー独特の世界観によると思います。

岡野先生は、アスペルガーの世界観について、一種の達観、または開き直りがあるとしています。そのあたりは、アスペルガーの人たちが頑固で、融通がきかないと言われる一因かもしれません。

わたしの友人のアスペルガーの人も、一種の信念みたいなものを持っていて、別の見方を論理的に説明しようとしても、聞く耳を持ってくれないことがよくあります。論理の組み立て方が異なるのかもしれません。

たとえば、定型発達者はトップダウンの思考で、周りの人の感情など、全体のバランスを見ながら臨機応変に論理を組み立てるのに対し、アスペルガーの人はボトムアップの思考で、情報の正確性を重視して一貫性のある論理を組み立てるようです。

自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの視覚的思考力とボトムアップ処理のメカニズムが解明!
自閉スペクトラム症の子どもの視覚的思考力の強さやボトムアップ処理の脳活動を金沢大学が明らかにしました。