朝起きできない昼夜逆転「概日リズム睡眠障害」を治すには


■どんなに努力しても夜眠れず、朝起きられない…。
■学校や職場の時間に合わせられない…。
■10時間近く眠っているのに疲労感が強い…。
■そんな自分を努力不足だと感じて責めてしまう…。

しあなたが、そんな根深い睡眠障害に悩んでいるとしたら、さまざまな改善のための努力を払ってはうまくいかないことを経験してきたのではないでしょうか。ふつう、昼夜逆転や、朝起きられない症状は個人の努力でどうにかなる問題と思われがちです。

ところが、この睡眠障害について、専門書にはこのように書かれているのです。

この状態の過眠(10時間睡眠)の多くは、睡眠相後退型で、睡眠相後退症候群(delayed sleep phase syndrome:DSPS)と呼ばれる難治性の睡眠障害であり、日常生活を不可能にする究極の睡眠障害である。(p27)

睡眠相後退症候群とは概日リズム睡眠障害のタイプの一つで、思春期に発症することが多く、不登校や引きこもりの主原因として注目されている病気です。

「難治性」、「日常生活を不可能にする究極の睡眠障害」。これこそが、この難しい睡眠障害と闘ってきた人たちの本心を代弁する言葉ではないでしょうか。

この記事では、この睡眠障害、概日リズム睡眠障害の「睡眠相後退症候群」(DSPS)について、このブログで過去に取り上げた内容をまとめます。その原因から治療法まで、集められる限りの情報を網羅しようと思います。

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第一章 睡眠相後退症候群(DSPS)とは

睡眠相後退症候群(DSPS)とは、概日リズム睡眠障害、あるいは、睡眠覚醒スケジュール障害と呼ばれる病気の一種です。1981年にモンテフィオーレ医療センターのWeitzmanらによって提唱されました。

不登校外来―眠育から不登校病態を理解するによると、睡眠相後退症候群には以下のような特徴があります。

(1)夕方から夜にかけて目がさえ、夜12時前には眠れず、入眠が夜2時以降になるため、昼夜逆転傾向になる
(2)一度寝つくと中途覚醒はほとんどなく、10時間あるいはそれ以上長く眠る
(3)社会の活動開始時間に起床できない。自然に目が覚めるのは昼頃となり、遅刻・欠席・欠勤状態となる
(4)長時間睡眠にもかかわらず睡眠質低下に伴う日中の眠気、頭痛、倦怠感、食欲不振の増加が見られる
(5)学業・仕事に集中できない
(6)慢性化し、学業・仕事を続けることができない
(7)うつ状態が現れる
(8)日本だけでなく世界的な問題で不登校や引きこもりの主原因である
(9)治療が極めて困難である (p28)

国立精神神経センターによると、睡眠相後退症候群は、一般人口での有病率は約0.4〜1.7%、慢性不眠のある方の7〜10%が該当すると推定されています。

睡眠相後退症候群は主に思春期に発症します。修学やキャリア形成の大切な時期に登校や出勤ができず、休学や退職を余儀なくされることも少なくなく、大変深刻な転帰を辿ることが多い疾患だと言われています。

そのような経緯から、睡眠相後退症候群は不登校の子どもに関する研究でよく知られており、不登校の子どもの80%が昼夜逆転傾向の過眠型睡眠障害を示すそうです。

不登校外来―眠育から不登校病態を理解するは、「“DSPSそのものが不登校と考えてもよい”といってもよいかもしれない」とさえ書かれています。

6つある概日リズム睡眠障害の1つ

概日リズム睡眠障害は全部で6種類存在し、睡眠相後退症候群はその中の一つです。睡眠障害のトピックス:睡眠・覚醒リズム障害について - 日本医科大学を参考すると、以下のようなリストになります。

1. 時差症候群…いわゆる時差ボケ
2.交代勤務性睡眠障害…シフトワーク勤務による睡眠障害
3.不規則型睡眠・覚醒パターン…子どものときから睡眠相が確立していない人、脳機能異常の人に見られる
4.睡眠相後退症候群…若者に多い。睡眠相が後ろにずれる
5.睡眠相前進症候群…老人に多い。睡眠相が前にずれる
6.非24時間型睡眠・覚醒症候群…若者に多い。睡眠相がずれていく

このうち非24時間型については、別の記事でまとめてありますので、そちらをご覧ください。

睡眠リズムがどんどんずれていく非24時間型睡眠覚醒症候群(non-24)の原因と治療法まとめ
同じ時刻に眠ることができず、睡眠時間帯が毎日遅れてゆく。時差ぼけ症状に苦しみ、社会生活に大きな支障が生じる。そしてときには慢性疲労症候群(CFS)と診断される。数ある睡眠障害の中で

第二章 睡眠相後退症候群の症状

睡眠相後退症候群は単なる夜型人間や、不眠症とは異なります。日常生活がまっとうに送れなくなるような、さまざまな症状が出てきます。それらを具体的にみてみましょう。

非回復性睡眠(NRS)

睡眠相後退症候群(DSPS)の患者の多くは、極めて質の悪い睡眠を抱えています。目が覚めると同時に疲労感を訴え、だるく、体を動かす意欲もわかず、疲労がまったく回復していません。それどころか、「疲れるために寝たような感じ」と表現する人もいます。

このような、疲労が回復しない睡眠のことを「非回復性睡眠」(NRS)といいます。「NRSの患者は若年層に多く、身体のあちこちで炎症反応が亢進している」ことがわかっており、NRSを抱える男性は死亡率が悪化するというデータもあります。

いくら寝ても疲れが取れない「非回復性睡眠」(NRS)―身体のあちこちで炎症反応